
「以前より身長が低くなった」「健康診断で身長が縮んでいた」と気になったことはありませんか?
身長は成長期が終われば完全に一定というわけではなく、測る時間帯や姿勢などによって多少変化します。また、年齢を重ねるにつれて椎間板や背骨などに変化が起こり、徐々に身長が低くなることもあります。
ただし、20代・30代で身長が低く測定された場合と、70代以降で数cm身長が縮んだ場合では、考えるべき原因が同じとは限りません。
特に成人後に大きく身長が低下した場合には、骨粗鬆症による脊椎椎体骨折などが隠れていることもあります。日本整形外科学会でも、骨粗鬆症による椎体骨折によって背中が丸くなったり、身長が低くなったりすることがあると説明されています。日本航空協会
この記事では、身長が縮む原因、20代・30代・70代で考えられる違い、朝と夜で身長が変わる理由、何cm縮んだら注意した方がよいのか、骨粗鬆症との関係まで解説します。
身長が縮むのはなぜ?
成人後に身長が低くなる理由は一つではありません。
測定する時間帯による変化、椎間板の加齢変化、背骨の変形、姿勢、骨粗鬆症による椎体骨折など、複数の要因が関係することがあります。
そのため「身長が縮んだ=老化」と決めつけるのではなく、年齢や縮んだ程度、腰や背中の痛み、姿勢の変化なども合わせて考えることが重要です。
朝と夜で身長が違うのはなぜ?
健康な若い人でも、朝と夜では身長が多少変化します。
背骨は椎骨という骨が積み重なってできており、骨と骨の間にはクッションのような役割をする椎間板があります。
日中は立ったり座ったりしているため、背骨には重力による負荷が加わります。その影響で椎間板の高さが変化し、朝より夜の方が身長が低く測定されることがあります。
睡眠中に横になって背骨への負荷が減ると、翌朝には再び身長が高く測定されることがあります。
したがって、「朝より夜の方が少し身長が低かった」というだけで、病気とは限りません。
身長の変化を比較するときは、できるだけ同じ時間帯・同じ測定条件で測ることが大切です。
20代なのに身長が縮むことはある?
20代で「身長が縮んだ」と感じても、すぐに加齢による身長低下とは限りません。
測定した時間帯、測定方法、姿勢、測定機器の違いなどによって数値が変化することがあります。
特に、以前は午前中に測っていたのに今回は夕方に測った、靴下や髪型など測定条件が違った、背筋を伸ばして測れていなかった、といった場合には差が出ることがあります。
一方、若い人でも背骨の病気や骨折などによって身長が変化する可能性はあります。
何度測っても以前より明らかに低くなっている、強い腰痛や背中の痛みがある、外傷後から身長や姿勢が変わったなどの場合には、年齢だけで判断せず医療機関へ相談してください。
30代から身長が縮むことはある?
30代でも測定条件によって身長が低く測定されることがあります。
一方で、成人後は年齢とともに椎間板や骨、筋肉など身体の組織にも少しずつ変化が起こります。
ただし「30歳になったら必ず身長が縮み始める」という明確な境界があるわけではありません。
30代で健康診断の身長が数mm程度変化しただけなら、測定誤差や時間帯なども考えられます。
以前と比べて数cm単位で低くなった、背中が丸くなってきた、腰や背中に痛みがあるなどの場合には、単なる年齢変化と決めつけないことが大切です。
70代になると身長が縮みやすい?
年齢を重ねると、若い頃より身長が低くなる人は増えてきます。
加齢による椎間板や背骨の変化に加えて、高齢になるほど骨粗鬆症や椎体骨折などの影響も考える必要があります。
骨粗鬆症は骨の量や強度が低下して骨折しやすくなる病気です。特に閉経後の女性では女性ホルモンの減少などが関係し、骨粗鬆症のリスクが高くなります。日本航空協会
骨粗鬆症による椎体骨折は、強い事故だけで起こるわけではありません。骨が弱くなっていると比較的小さな負荷でも生じることがあり、痛みが軽いケースもあります。複数の椎体骨折が起こると背中が丸くなり、身長が低くなることがあります。日本航空協会
そのため70代以降で「最近かなり身長が縮んだ」と感じた場合には、単なる老化と決めつけないことが重要です。
身長が縮む主な原因
椎間板の変化
背骨の骨と骨の間にある椎間板は、身体に加わる衝撃を和らげる役割があります。
年齢とともに椎間板にも変化が起こるため、背骨全体の高さに影響することがあります。
これは加齢による身長低下に関係する要因の一つです。
背中が丸くなる
加齢などに伴って背中が丸くなると、立った状態で測定した身長が以前より低くなることがあります。
ただし「猫背だから骨が潰れる」と単純に考えることはできません。
背中の丸まりが強くなった場合には、姿勢だけでなく椎体骨折などが関係している可能性も考える必要があります。
骨粗鬆症による椎体骨折
注意したいのが、骨粗鬆症による脊椎椎体骨折です。
骨粗鬆症によって骨が弱くなると、背骨を構成する椎体がつぶれるように骨折することがあります。
日本整形外科学会によると、骨粗鬆症による椎体骨折は胸椎と腰椎の境目付近に起こりやすく、複数箇所に起こると背中が丸くなって身長が低くなることがあります。日本航空協会
また、骨粗鬆症そのものは痛みがないことも多く、骨折して初めて気づく場合があります。日本航空協会
筋力や身体機能の変化
年齢とともに筋肉量や身体機能が変化すると、若い頃と同じ姿勢を保ちにくくなる場合があります。
ただし「腹筋や背筋が弱くなったから骨盤や背骨を支えられず、身長そのものが縮む」と単純に説明することはできません。
筋力低下は、姿勢や日常生活動作、転倒リスクなどとの関係で考えることが重要です。
何cm身長が縮んだら注意した方がいい?
成人後の大きな身長低下は、骨粗鬆症による椎体骨折を見つける手掛かりになることがあります。
日本整形外科学会では、25歳頃の身長から4cm以上、または閉経後3年間で2cm以上身長が低くなった場合には注意が必要と紹介しています。日本航空協会
また、国際骨粗鬆症財団(IOF)も、成人後4cmを超える身長低下を骨粗鬆症による脊椎骨折を疑うサインの一つとして挙げています。国際骨粗鬆症財団
ただし「4cm未満なら絶対に大丈夫」「4cm縮んだら必ず骨粗鬆症」という意味ではありません。
年齢、性別、骨折歴、閉経、薬の使用歴なども含めて判断する必要があります。
身長が縮んだら骨粗鬆症?
身長が縮んだからといって、必ず骨粗鬆症というわけではありません。
一方で、骨粗鬆症による椎体骨折が身長低下の原因になることはあります。
特に、
・以前より明らかに身長が低くなった
・背中が丸くなってきた
・腰や背中に痛みがある
・軽く転んだだけで骨折したことがある
・閉経後の女性
・高齢になってから急に身長が低くなった
といった場合には、骨の状態を確認することを検討してください。
骨粗鬆症が疑われる場合には、骨密度測定やX線検査などが行われます。日本航空協会
身長が縮むのを予防できる?
加齢に伴う身体の変化そのものを完全に止めることはできません。
一方で、骨や筋肉の健康を維持することは重要です。
適度な運動を続ける
ウォーキングや筋力トレーニングなど、自分の体力に合った運動を継続することは、筋力や身体機能を維持するために役立ちます。
ただし、すでに骨粗鬆症や椎体骨折がある場合には、運動内容に注意が必要なことがあります。医師などから運動について指示を受けている場合には、その指示に従ってください。
骨の健康に必要な栄養をとる
骨の健康にはカルシウムだけでなく、ビタミンDやビタミンK、タンパク質なども関係します。
日本整形外科学会でも、骨粗鬆症の予防としてカルシウム、ビタミンD・K、適量のタンパク質、運動などを挙げています。日本航空協会
特定の食品だけに頼るのではなく、日頃からバランスのよい食事を意識しましょう。
転倒を予防する
骨粗鬆症がある場合には、骨を強くすることだけでなく骨折につながる転倒を防ぐことも重要です。
筋力やバランス能力の維持、家の中の段差や滑りやすい場所への対策なども考えましょう。
身長が縮んだときに病院へ行く目安
身長が低くなっただけで、すべての人がすぐに病院へ行かなければならないわけではありません。
しかし、
・成人後に身長が大きく低下した
・短期間で身長が低くなった
・背中が以前より丸くなった
・腰や背中に痛みがある
・転倒後から背中や腰が痛い
・骨粗鬆症を指摘されている
・軽い負荷で骨折したことがある
といった場合には、整形外科などの医療機関へ相談してください。
特に骨粗鬆症による椎体骨折は、必ずしも強い痛みを伴うとは限りません。日本整形外科学会も、骨が弱くなった状態で起こる椎体骨折では疼痛が軽度の場合があるとしています。日本航空協会
鍼灸整骨院でできること
「身長が縮んだ」という相談を受けた場合、まず重要なのは、その原因が単なる姿勢の変化なのか、医療機関での検査が必要な状態なのかを考えることです。
特に高齢の方で大きな身長低下がある場合や、腰・背中の痛み、急な姿勢変化などがある場合には、骨粗鬆症や椎体骨折などを除外するため整形外科での検査を優先します。
骨折などが否定され、筋肉の緊張や身体の動かしにくさなどがある場合には、その状態を確認したうえで施術や運動について検討します。
整体や鍼灸によって、潰れた椎体を元に戻したり、加齢によって低下した身長そのものを回復させたりすることはできません。
「身長を伸ばす施術」ではなく、身体を動かしやすい状態を目指したり、日常生活での運動について相談したりする場所として考えてください。
まとめ
身長は朝と夜でも多少変化するため、健康診断などで一度低く測定されただけなら、すぐに病気と判断する必要はありません。
20代・30代では測定条件や時間帯などによって身長が低く測定されることもあります。一方、年齢を重ねてから大きく身長が低下した場合には、椎間板や背骨の加齢変化だけでなく、骨粗鬆症による椎体骨折などが関係している可能性もあります。
特に成人後の大きな身長低下、背中が丸くなった、腰や背中が痛いといった変化がある場合には、「年齢のせい」と決めつけず医療機関へ相談することが大切です。
FAQ
年齢とともに身長が縮むのは普通ですか?
年齢を重ねると、椎間板や背骨などの変化によって若い頃より身長が低くなることがあります。ただし、大きな身長低下には骨粗鬆症による椎体骨折などが関係する場合もあります。
20代でも身長が縮むことはありますか?
20代では、測定した時間帯や姿勢、測定方法などによって以前より低く測定されることがあります。何度測っても大きく低下している場合や、腰・背中の痛みなどがある場合には医療機関へ相談してください。
30代から身長が縮むことはありますか?
30代でも身長の測定値が変化することはありますが、30歳になったら必ず身長が縮み始めるわけではありません。数cm単位の低下や痛みなどがある場合には原因を確認することが大切です。
夜になると身長が縮むのはなぜですか?
日中に立ったり座ったりして背骨へ負荷が加わることで、椎間板の高さが変化し、朝より夜の方が身長が低く測定されることがあります。
70代で身長が縮むのは普通ですか?
年齢とともに身長が低くなる人はいますが、高齢になるほど骨粗鬆症や椎体骨折などにも注意が必要です。大きな身長低下や背中の丸まり、腰・背中の痛みがある場合には医療機関へ相談してください。
身長が4cm縮んだら骨粗鬆症ですか?
4cm縮んだから必ず骨粗鬆症というわけではありません。ただし、成人後の4cmを超える身長低下は、骨粗鬆症による椎体骨折を疑う手掛かりの一つとされています。
猫背を治せば身長は元に戻りますか?
姿勢によって測定時の身長が変わることはありますが、骨粗鬆症による椎体骨折や椎間板などの構造的な変化による身長低下を、姿勢を整えるだけで元に戻すことはできません。
身長が縮んだら何科を受診すればいいですか?
大きな身長低下や背中の丸まり、腰・背中の痛み、骨粗鬆症が疑われる場合には、まず整形外科への相談が適しています。

