身体の痛みは危険を知らせるサイン!人間の身体はなぜ痛くなるのか

  • 2022年4月19日
  • 2026年5月11日
  • 豆知識

現代人の2人に1人は肩こりや腰痛に悩んでいると言われています。中高年以上になると、膝痛に悩む人も増えてきます。その他にも、さまざまな身体の痛みを抱えている方がいらっしゃることでしょう。

命に別状はなくても、いつも身体のどこかが痛んでいると辛いものです。できれば、痛みから解放されて快適に毎日を過ごしたいことでしょう。

ここでは、なぜ人間の身体は痛くなるのか?について考えていきたいと思います。痛みから解放される為にも、予防のやめ為にも、まずは痛みのメカニズムを知っておきましょう。

痛みは体のアラーム

たとえば、熱いおなべにさわったら、パッと手を引っこめます。
これは、痛みが体を守っているからです。
もし痛みがなかったら、やけどや大けがに気づくのが遅れてしまいます。実際、痛みを感じにくい病気では、重いけがに気づきにくくなることがあります。

だから、急に出た痛みには意味があります。
「休んで」「やりすぎないで」「早く手当てして」という、体からのメッセージです。
急性の痛みは、いわば火災報知器のようなものです。

どうして痛みが出るの?

痛みは、けがした場所がそのまま「痛い」と言っているわけではありません。
体の中の神経が「何かまずいよ」という信号を集めて、脊髄を通して脳へ送ります。
そして、脳がその信号を「これは痛みだ」と受け取ったとき、私たちははじめて「痛い」と感じます。

ここで大事なのは、痛みの強さは、傷の大きさだけで決まらないことです。
脳は、不安、こわさ、イライラ、安心感、過去の経験、そのときの生活のようすの影響も受けます。
だから、同じようなけがでも、人によって痛み方がちがうことがあります。

痛みが出る理由は、大きく分けると3つで考えると分かりやすいです。
ひとつ目は、切り傷やねんざ、炎症のように、体が実際に傷ついているとき。
ふたつ目は、神経そのものが傷んだり、過敏になったりしているとき。
みっつ目は、不安や落ちこみ、睡眠不足、生活のしづらさなどが重なって、痛みを強くしているときです。厚労省のガイドラインでも、慢性疼痛は「体の傷」だけでなく、「神経」「心理・社会」の要因をいっしょに見ていく考え方が大切だとされています。

痛みは本当に悪いもの?

答えは、「短く言うと、半分はノー、半分はイエス」です。
急性の痛みは、体を守るために必要です。
でも、長引く痛みは、体を守る役目を終えているのに残ってしまうことがあります。

春日井市民病院は、こうした長引く痛みを「無益な痛み」がありうると説明しています。厚労省ガイドラインでも、慢性疼痛は、損傷がよくなっているのに出され続ける「不要な警告」と整理されています。
つまり、「痛い=まだ壊れている」とは限らないのです。
ここが、急性痛と慢性痛の大きなちがいです。

だから慢性痛では、「痛みを0にする」ことだけを目標にしません。
「よく眠れる」「少し歩ける」「学校や仕事に戻れる」「こわがりすぎず動ける」といった、生活を取り戻すことも大事です。
厚労省ガイドラインも、慢性疼痛ではQOLや日常生活動作を上げることが重要だとしています。

急性の痛みと慢性の痛み

急性痛と慢性痛のちがいを、公式情報に沿ってかんたんにまとめると下の通りです。

種類症状主な原因対処の考え方
急性の痛み急に出る。切り傷、やけど、ねんざ、手術後の傷など。数日〜数週間で軽くなることが多い。けが、炎症、病気のはじまり原因の治療をする。楽な姿勢をとる。必要な安静をとる。強い痛みや改善しない痛みは受診する。
慢性の痛み3カ月以上続く、ぶり返す、広がる、眠れない、気持ちが落ちることもある。けがの長引き、神経の過敏、生活のしづらさ、不安やストレスなどが重なる痛みだけでなく、睡眠、気分、生活、活動量もいっしょに見直す。少しずつ生活を戻す。

痛みが出たときの流れは、ざっくり言えば次のように考えると整理しやすいです。急な痛みは「原因への対応」が先です。長引く痛みは「警報が鳴り続ける仕組み」まで見直すことが必要になります。

痛みを感じるメカニズム

痛みを感じるメカニズムはシンプルで、神経の働きによるものです。

私たちの身体には全身に神経が張り巡らせており、末梢神経には外部からの刺激を感知するセンサーがあります。身体は外部から痛みの刺激を受けると電気信号となって脊髄を通り、大脳に伝わることで「痛い」と感じる事が出来るのです。

痛みのメカニズムには、以下のように3つの種類があります。

侵害受容性疼痛

外傷が起きたり、炎症が起こった場合にその刺激を末梢神経が感知する痛みです。

切り傷や擦り傷、打撲、捻挫、骨折などが典型例です。ぎっくり腰や関節リウマチ、変形性膝関節症などもこの種類に含まれます。

神経障害性疼痛

神経そのものが損傷したり、神経の周囲の組織に炎症が起こった場合に感じる痛みです。

座骨神経痛が典型例です。交通事故などによる強い刺激で変形した骨が神経を圧迫している場合などこの種類にあてはまります。

交通事故後にむちうちや椎間板ヘルニアなどの症状が出たときは、神経障害性疼痛が生じている可能性があります。

心因性疼痛

心因性疼痛は、外傷や神経障害がないにもかかわらず精神的な原因によって感じる痛みです。

職場や家庭のストレスをはじめ、何らかの強い悩みや心配、不安を抱えているときに自律神経のバランスが乱れて、脳がストレスを痛みとして認知することがあります。それが「心因性疼痛」と呼ばれるものです。

最初は外傷による痛みであっても、なかなか治らないときに不安やいらだちを感じ、また職場や家庭でのストレスも重なって心因性疼痛に移行する場合があります。

外傷は治ったのに慢性化した痛みが続いている場合は、心因性疼痛に移行している可能性があります。

そもそも二足歩行の構造的な問題で痛みが生じやすい

私たちの身体は、そもそも肩こりや腰痛、膝痛などが生じやすい構造になっています。人間の身体は他の動物と異なり二足方向をする構造になっていますが、それが痛みの原因にもなっているのです。

人間は直立しているときや座っているときには、重い頭部を首や肩の筋肉だけで支えなければなりません。そのため、首や肩のこりが起こりやすくなります。

また、背骨は前後に緩やかなS字カーブを描いているのが正常な形ですが、悪い姿勢をとり続けると形が崩れて、腰に大きな負担がかかってしまいます。その結果、腰痛が起こりやすくなります。

さらに、二足歩行では歩行中に二本の足にのみ負担が集中します。四足歩行と比べると、単純に考えて一本の足にかかる負担は2倍です。そのため、膝痛が起こりやすくなるといえるでしょう。

老化による身体の痛みとは

筋肉量の減少

人間の身体は、30才頃から筋肉量が減少しはじめます。

筋肉量の減少に伴い活動量も減少していきます。その結果、筋肉が衰え、筋肉の柔軟性も失われていきます。柔軟性が失われると身体を動かしづらくなり、日常的な活動量が減少し、また筋肉量が減少します。

これが老化に伴う負のスパイラルです。

身体を動かさないことによって筋肉は凝り固まり各所に痛みやコリが生じてきます。

骨密度の低下

骨は、50才頃から密度が低下してもろくなります。骨密度が低下することにより骨折の危険性が増します。また骨密度が低下すると背骨が薄くなって脊柱が湾曲し、椎骨が押しつぶされて痛みが生じることもあります。

その他

靱帯や腱も老化に伴い柔軟性が失われてきます。柔軟性が失われた関節を無理に動かし続けることで、関節に負荷がかかり痛みを感じやすくなります。関節には軟骨がありこれによって動かしても関節同士がぶつからずスムーズな動きを可能にしています。しかし軟骨が減少することで、骨と骨が直接当たる状態となり痛みが出ることがあります。

変形性膝関節症や変形性脊椎症による腰や足の痛み、四十肩や五十肩、三叉神経痛、頸肩腕症候群などは老化が主な原因といえます。

また、同じようなケガをした場合や、交通事故の際同じ車に同乗していた場合でも、老化が進んでいる方が身体の防御機能が衰えているので、強い痛みを感じやすかったり重症化しやすいようです。

生活スタイルによって痛みも違う

各自の生活スタイルの違いによっても、痛みの感じやすさや程度が違ってきます。

立ち仕事が多い人や、重い荷物を持ち上げることが多い人は、腰や足に継続的な負担がかかるため、痛みが生じやすくなります。同じ動作を繰り返すことによって、その部位に炎症を起こして痛みを感じるケースも少なくありません。

事務職の人も、首や肩、背中、腰などに継続的な負担がかかるため、肩こりや腰痛を発症しやすくなります。姿勢が悪いと、その傾向が強まります。

身体をあまり動かさない人も、運動不足による筋力の低下によって肩こりや腰痛を発症することがあります。

その他にも、ストレスをため込みやすい人は身体の各所に心因性疼痛が出ることもあれば、内臓の諸器官に苦痛を感じることもあります。

痛みを放置するのは危険

打撲や擦り傷などで軽症の場合は放っておけば完治することもありますが、痛みは心身に異常が生じているサインですので、放置するのは危険です。

痛みが慢性化すると治りにくくなる上に、ストレスによってうつ病などの精神疾患を発症するおそれもあります。

痛みを感じたら、必要以上に我慢せず、原因を突き止めて必要な手当を受けることが大切です。

身体は使いすぎても、運動不足でも痛みを感じやすくなります。

仕事で身体を使う人は適度に休息するとともに、休みの日などには仕事で使わない部位も動かしてバランスを取るようにしましょう。

普段、身体を動かさない人は、ウォーキングや体操など自分に合った運動を日課にするとよいでしょう。

適度に身体を動かして睡眠もしっかりとり、余暇には趣味を楽しむなどして心身のバランスを整えることが痛みを予防する最善策となります。

こんな痛みは早めに相談

痛みの多くは、まず体からの合図です。
でも中には、急いで見てもらった方がいい痛みもあります。
厚労省は、突然の激しい頭痛、胸の強い痛みや圧迫感、急な息切れ、突然の激しい腹痛などを緊急性のあるサインとして案内しています。こうした痛みは、がまんしすぎないことが大切です。

よくある質問

痛みは全部、悪いものですか?

いいえ。急性の痛みは、体を守るための大切なアラームです。けれど、長引く痛みは生活の質を下げることがあるので、見方と対処を変える必要があります。

どうして、けがが治ったはずなのに痛いの?

慢性痛では、神経のシステムが過敏になったり、不安や睡眠の乱れが重なったりして、痛みが続くことがあります。厚労省ガイドラインでも、体の傷だけでなく、神経・心理・社会の要因をいっしょに見ることが大切だとされています。

ストレスで痛みは強くなりますか?

はい。脳は痛みの信号をそのまま受け取るだけでなく、感情や経験の影響も受けます。不安や怒りは痛みを強め、安心は痛みを軽くしうると説明されています。

検査で異常なしでも、痛みは本物ですか?

はい。本物です。痛みは脳が感じる体験なので、画像で大きな異常が見つからなくても、本人が感じている痛みが実在することはあります。

痛いときは、ずっと動かない方がいいですか?

急なけがの直後は、休むことが大切な場合があります。けれど、慢性痛では、ずっと動かないことが回復を遅らせることもあり、無理のない活動を少しずつ戻す考え方が大切です。

どんな痛みはすぐ相談した方がいいですか?

突然の激しい頭痛、胸の強い痛みや圧迫感、急な息切れ、突然の激しい腹痛などです。迷うほど強い痛みは、早めに医療機関へ相談するのが安全です。

まとめ

痛みを感じたら、まずは原因を突き止めましょう。

外傷による痛みなら、外傷の治療を受けることです。外傷が治っても痛みが続く場合は、神経に障害が生じているか、心因性の原因が潜んでいる可能性があります。医師によく相談して、適切な手当を受けることが重要です。

痛みは心身からの危険信号です。軽視せずに受け止めて、適切に対処することで健康を保つことができるでしょう。