ストレートネックは首の症状のみならず、肩こりや頭痛、腰痛といった全身症状を引き起こします。
特に最近は若い世代の人に増えている症状であり、それらはスマホなどの普及が関わっているとされています。
ストレートネックは身体にとって悪い影響を引き起こすことが分かっているため、できるだけ早めに対処することが大切です。
今回は、ストレートネックの原因やストレートネックによって起こる身体への悪影響などについて解説していきます。
ストレートネックとは
『ストレートネック』という言葉は病名ではなく症状を指す言葉です。何らかの原因で首に負担がかかり、首がまっすぐになっている状態のことを言います。
病院でレントゲン検査で撮影すると首は本来ゆるやかなS字のカーブを描いていますが、ストレートネックは過度な負担がかかり首の骨(頸椎)が伸びてしまった状態です。
成人の頭は約4~6kgと重いため、首にS字のカーブがあることで頭の重さが直接首に伝わらないようにしているのですが、このS字のカーブが失われることで首の痛みだけでなく、肩や背中の痛み、頭痛など様々な身体の不調を引き起こします。
ストレートネックの原因
現在、日本人の約8割がストレートネック予備軍と言われています。
ストレートネックを発症させる原因
- スマートフォンの長時間使用
- 日常的な姿勢の悪さ
- 寝ている時の姿勢
以下で詳しく解説していきます。
1.スマートフォンの長時間使用
ストレートネックの原因として近年増えているのがスマートフォンの長時間使用です。
スマートフォンの画面をみるときの姿勢は、首が下向きになることが多く、頸椎(けいつい)がまっすぐ伸びた状態になります。長時間のスマートフォン操作により、頸椎が長時間伸ばされることで負担がかかり、筋肉が硬くなりストレートネックになります。
ストレートネックは別名、スマホ首とも呼ばれ、最近ではスマートフォンによる影響が大きいことがわかります。
2.日常的な姿勢の悪さ
ストレートネックの主な原因は姿勢の悪さです。
スマートフォンの操作だけでなく、読書やデスクワークでの姿勢の悪さもストレートネックの原因となります。現代社会では当たり前のように使用しているツールが、ストレートネックの症状を増やしています。
猫背
猫背は背中が丸くなるため首が亀のように前に突き出た状態になり、ストレートネックになりやすい傾向にあります。
猫背は骨盤が後ろに傾いた状態になります。そこで重さのバランスをとろうと、首の骨は前にズレます。
反り腰
ハイヒールを履くことが多い女性の症状として反り腰があります。反り腰は骨盤が極端に前に倒れている状態です。そのため、胸は前に突き出て首はバランスをとるためにストレートネックの状態になります。
3.寝ている時の姿勢
寝ている姿勢を意識的に変えるのは難しいですが、人間は1日のうち約3分の1を寝て過ごします。寝ている姿勢が悪ければ身体に何らかの不調をもたらします。
たとえば、枕が高すぎる場合、頸椎はまっすぐに伸びた状態です。この状態で毎日寝ていると当然ストレートネックを引き起こすことが考えられます。
ストレートネックが引き起こす身体の症状
本来、首は重い頭を支えるためにS字にカーブすることで衝撃を和らげています。
ストレートネックになってしまうと、衝撃を和らげるクッションが無いため、頭や肩、背中などにダイレクトに負担がかかり頭痛、肩こり、吐き気、めまいといった症状を起こします。症状が重くなると手のしびれや背骨の変形、ヘルニアのような症状がみられることもあります。
首こり・肩こり
首のS字カーブが失われることによって、重い頭を支えるために首や肩に負担がかかります。
ストレートネックは首や肩周りの筋肉が常に緊張状態であるため血行不良を引き起こし痛みが発生します。
頭痛
首周りの筋肉が緊張状態が続くことで筋肉が硬くなり、近くを通る血管や神経を圧迫します。そのため脳への血液やリンパの流れが悪くなり頭痛を引き起こします。
手や腕のしびれ
首周りの筋肉が硬くなることにより神経が圧迫され、手や腕がしびれることがあります。
眼精疲労
首が前にズレることで後頭部の負担が大きくなります。後頭部には眼のツボが存在しているためここの血流が悪くなることで、目の疲れやかすみが生じます。
吐き気や胃の不調
首の筋肉がガチガチになり眼精疲労が悪化することで、吐き気や胃の不調を感じることがあります。
自律神経の乱れ
首にはたくさんの神経が通っています。
首周りの筋肉が硬くなることで、神経が圧迫され自律神経が乱れやすくなります。
自律神経の乱れから回復機能が低下し、身体の疲れや、倦怠感を感じやすくなります。
睡眠障害
自律神経のバランスが乱れることで、寝付きが悪くなったり、睡眠の質が低下するなど睡眠障害を起こすことがあります。
その他、全身の骨格バランスが崩れるため、腰痛など様々な症状が起こります。
ストレートネックを調べる方法
ストレートネックの傾向があるのかを調べる方法を紹介します。
壁に背中を付けた状態でまっすぐ立つ
これだけです!
このとき、『①頭②肩③お尻④かかと』の4か所が自然に壁に接していますか?
立ったままの状態で4か所すべてが自然に壁に接していればストレートネックである可能性は低いでしょう。
しかし、頭やお尻が壁から離れていたり、無理に真っ直ぐ立とうとしないと姿勢を維持できないのであれば、すでにストレートネックになりかけている可能性があります。
ストレートネック予備軍チェック
- 1日5時間以上パソコンやスマホを使っている
- うつむいた姿勢での作業が多い
- 上を見上げるとき首に違和感がある/上を向きにくいと感じる
- 目が疲れやすい/ドライアイである
- 寝る前に布団の中でスマホをいじる
- 身体の疲れが抜けにくい
- 睡眠不足を感じる
当てはまる数が多いほどストレートネックの可能性は高いです。早めに対策さましょう。
ストレートネックの対処法
ストレートネックによる身体の痛みや不調に悩まされている人も多いでしょう。
ストレートネックは急に起きるものではなく、長年の生活習慣や悪姿勢によって徐々に引き起こされます。
ストレートネックの人は首だけではなく、身体全体に歪みが起きていることが考えられます。そのため身体全体をトータル的にケアしていく必要があります。
治療院で首の治療を受けることで一時的に痛みを改善することはできますが、全体的に歪みが改善しない限りすぐにまた首への負担がかかり、ストレートネックも一向に良くならないままです。
自宅でできるストレートネック体操
あご押し体操
- 背中を伸ばして立ち、顔をまっすぐにし手で顎を後ろに押し込むイメージで押す
- 手を離し、首の前を伸ばすことを意識しながら顎を上に持ち上げ天井を見上げ5秒キープ
- 1、2を繰り返し行う
特に回数制限はありませんので時間があるときに気持ちがいいと感じる程度で行ってください。
首を左右に傾けるストレッチ
- 真っすぐ正面を向く。このとき、首が前に出ていたら肩の位置まで顎を引く
- 猫背にならないよう両手を後ろで組んで背筋をしっかり伸ばす
- 呼吸は止めずに10秒かけて首をゆっくり右に倒す(うまく傾けられないようなら頭に左手を添えて)
- 反対側も同じように行う
左右に振り向くストレッチ
- 正面を向いて立つ
- 10秒かけて後ろを振り向くイメージで顔を横に動かす(顎が上に上がったり、下に落ちたりしないよう、まっすぐ真横を向く)
- 反対側も同じように行う
日頃からできるストレートネック予防法
せっかく治療院で身体を整えたり、日々自分で首の体操をしていてもストレートネックになる原因を断たなければ意味がありません。予防法を知ってこれ以上ひどくならないよう対処しましょう。
- 正しい姿勢を保つ
- 首周りの筋肉を柔らかくしておく
- 寝具を見直す
正しい姿勢を保つ
ストレートネックになる主な理由は、首の位置が傾くほど悪い姿勢を継続してしまっていることです。
スマホを見るときは、なるべく顔の高さでで操作するようにし、長時間うつむいたままになるのはやめましょう。
また猫背もストレートネックになる要因になりますので、背中が丸まっている場合は背筋を伸ばすようにしましょう。
正しい姿勢を保つためにお腹周りや背中の筋肉を鍛えることも有効です。
首周りの筋肉を柔らかくしておく
仕事や勉強などでどうしてもうつむく時間が長くなってしまう場合は、作業の合間にストレッチをして首や肩周りの筋肉をほぐすようにしましょう。
1時間に1度くらいのペースで、首回しや肩甲骨回しを行い硬くなった筋肉をリラックスさせましょう。
また、筋肉は冷えると硬くなる性質があるため身体を冷やさないことも大切です。
入浴の際は湯船に浸かり身体を温めます。身体が硬い人や、首周りが痛くて伸ばせない人は筋肉がリラックスしている入浴後がおすすめです。
寝具を見直す
枕は高過ぎても低過ぎても首に負担がかかるため、寝ているときの枕の高さはストレートネックの原因になります。
特に、高い枕を好む人は、寝ている姿勢が首が前に飛び出た状態であるため危険です。
高い枕を好んで使っている人は、枕を高くしないといけない身体の歪みがどこか他のところに発生している事が考えられます。
理想的な枕の高さは立っているときと同じ姿勢を保てる高さです。
高い枕が好みの方は急に枕を低くしてしまうと、身体が慣れず寝付きが悪くなる可能性があるので、タオルを枕変わりにして高さを調整していき、徐々に低くい枕に慣らしていきましょう。
鍼灸整骨院かまたきによるストレートネックの治し方
首や肩に痛みがある場合、飲み薬で一時的に紛らわせたとしても、痛みの原因であるストレートネックを改善しなければ同じ痛みを何度も繰り返すことになります。
ストレートネックは日常的に行っている悪姿勢が原因で引き起こされるため、普段の姿勢を整えていくことでストレートネックの症状を改善していくことができます。
また、ストレートネックが原因で引き起こされる症状は首や肩の痛みだけとは限らないため、身体全体をトータル的にケアしていく必要があります。
胸鎖乳突筋を緩める
- 頭痛
- 首・肩周りの痛みや重だるさ
- 呼吸が浅い
- めまい
- 睡眠の質の低下
- 視力の低下
- 吐き気
- 猫背・巻き肩・顎のたるみ など
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨の内側にかけてつながっている太い筋肉です。
ストレートネックの原因となる『うつむく姿勢』は、胸鎖乳突筋に大きな負荷がかかります。
うつむく姿勢が長時間続くと、胸鎖乳突筋がガチガチに凝り固まってしまい首や肩に痛みや重だるさなどの症状があらわれます。
胸鎖乳突筋の近くはリンパや神経がたくさん通っているため、ここが硬くなることでリンパの流れも滞り、老廃物が溜まり首が太く見えてしまう原因にもなります。
鍼灸整骨院かまたきの施術
胸鎖乳突筋の近くには大切な神経束が通っているため、強くグリグリとほぐすのは良くありません。そこで胸鎖乳突筋が繋がっている鎖骨周辺の筋肉と後頭部周辺の筋肉をほぐしていきます。周りの筋肉からほぐしていくことで連動している胸鎖乳突筋も徐々に緩んできます。
手技による施術の他、電気療法やストレッチ運動を行い首周りの筋肉の柔軟性を高めていきます。
斜角筋をほぐす
- 腕や指先のしびれなどの神経症状
- 腕や肩の痛みや重だるさ
斜角筋は首の前面に付いている筋肉で、肋骨までつながっていて肋骨を引き上げるとき(息を吸うとき)働きます。
デスクワークや家事などで首を曲げている時間が長くなると負担がかかってきます。
斜角筋の近くには腕に関係する大きな神経が通っているため、斜角筋が疲労することで神経や血管を圧迫し、だるさやしびれなどの神経症状を発生させることがあります。
鍼灸整骨院かまたきの施術
斜角筋付近に症状が出ている場合、手技による施術はかなりの痛みを伴うため優しく行っていきます。神経症状があらわれている場合は肩や腕の方から徐々にほぐしていきますが、もみほぐしは痛みを感じやすいため、筋肉を伸ばすストレッチが効果的です。
ガチガチに凝り固まっている場合は手技よりも鍼治療の方が痛みも少なく、筋肉がほぐれやすいです。鍼に恐怖心がある方は電気治療も効果的です。
肩甲骨の柔軟性を高める
- 運動不足を感じている人
- デスクワークの人
- 肩こり・首こり
- 猫背・巻き肩
- 冷え性
- 慢性疲労
肩甲骨は、背中の上の方にある逆三角形の平らな筋肉で、首や肩の筋肉と繋がっています。
日頃から運動をあまりしない人や、デスクワークの人、ドライバーなど長時間同じ姿勢が続く人は、肩甲骨がガチガチに凝り固まっている人が多いです。
ストレートネックと猫背は切っても切れない関係なので、ストレートネックの改善に猫背の改善は欠かせません。そのため、肩甲骨の柔軟性を高める施術は効果的です。
鍼灸整骨院かまたきの施術
本来、肩甲骨の溝には指が入り込むほど柔らかい状態が理想です。
現代人は背中が丸まった動作が多いため、背中の筋肉が硬く猫背気味の人が多いです。
肩を揉んだり、背中を指圧するなどしてほぐせる筋肉は、身体の表面のわずかな筋肉のみです。
ストレートネックの改善にはより深部の筋肉へのアプローチが必要です。
電気治療は手技では届かない筋肉を刺激することができます。また、鍼治療で用いる鍼の長さは3~5センチほどあり、筋肉の硬さによって加減しながら直接刺激することができるので効果が高いです。
骨格の調整・姿勢指導
- ストレートネック
- 背中の歪み・重だるさ・痛み・猫背
- 骨盤の歪み・痛み・重だるさ
ストレートネックの症状により首のバランスが崩れると、その他の骨格もバランスを取ろうとして歪んでいる可能性が高いです。
骨格を調整する際は、首~背中~腰にかけて身体全体のバランスをみて整えていきます。
骨格調整は1回行っただけで改善されるものではありません。
身体には元の形に戻ろうとする力(形状記憶機能)が備わっているため、長年歪んでいた骨格を元に戻すと、脳は「バランスが崩れた!」と判断してしまい元の歪んだ状態に戻す作用が働きます。
そのため正しい骨格に戻すためには、徐々に時間をかけて筋肉をつけていき、日々の姿勢を意識することが大切になってきます。
また、せっかくストレートネックが解消されても、自分自身が正しい姿勢を知らなければまたすぐに普段の悪い姿勢で過ごす時間が長くなり症状を再発させてしまいます。当院では、痛みが落ち着いた後も再発を繰り返さないよう定期的な検診をお勧めしています。その際、正しい姿勢の指導や、自宅で行える運動指導を行っております。