
肩こりは多くの人が経験する身近な症状です。「仕事でパソコンを使いすぎた」「スマートフォンを長時間見ていた」「運動不足だから」と考えて、そのままにしている方も多いのではないでしょうか。
実際、肩こりは長時間同じ姿勢を続けることや前かがみの姿勢、運動不足、精神的なストレスなどによって起こることがあります。日本整形外科学会でも、首や背中が緊張する姿勢での作業、猫背、運動不足、ストレス、長時間同じ姿勢をとることなどが肩こりの原因として挙げられています。
しかし、すべての肩こりが筋肉の疲労や姿勢だけで起こるわけではありません。頚椎や肩関節などの病気によって肩こりのような症状が現れることがあり、まれに肩とは別の場所の病気によって肩や腕などに痛みや違和感を感じる場合もあります。
特に「いつもの肩こりとは明らかに違う」「胸が苦しい」「突然激しい頭痛が起こった」「手足に力が入りにくい」など、肩こり以外の症状を伴っている場合には注意が必要です。
この記事では、一般的な肩こりの原因から、肩こりや肩の痛みとして感じる可能性のある病気、医療機関を受診した方がよい症状、何科へ相談すればよいのかまで解説します。
そもそも肩こりとは?
肩こりは特定の一つの病名を指しているわけではありません。
日本整形外科学会では、首すじや首のつけ根から肩・背中にかけて「張る」「凝る」「痛い」といった感覚が生じ、頭痛や吐き気を伴うこともあると説明しています。肩こりにはさまざまな筋肉が関係しますが、特に首の後ろから肩、背中に広がる僧帽筋が中心になります。
一般的には、デスクワーク、長時間同じ姿勢を続けること、猫背や前かがみ、運動不足、精神的ストレスなどが肩こりに関係することがあります。
一方で、頚椎や肩関節などの病気に伴って「肩が凝っている」「肩が重い」と感じるケースもあります。
そのため、長期間続いている肩こりや通常とは違う症状を伴う場合には、「いつもの肩こりだから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
一般的な肩こりで考えられる原因
病気について考える前に、まず肩こりに関係する代表的な生活上の要因を確認してみましょう。
長時間同じ姿勢を続ける
パソコン作業やスマートフォンの使用では、同じ姿勢を長時間続けることがあります。長時間身体を動かさない状態が続くと首や肩周辺に負担がかかり、張りや重だるさを感じることがあります。
猫背や前かがみの姿勢
パソコン作業などで前かがみの姿勢が長く続くと、首や肩周辺に負担がかかることがあります。日本整形外科学会でも、猫背や前かがみなどの姿勢を肩こりに関係する要因として挙げています。
ただし、一つの「悪い姿勢」だけが肩こりの原因になると決めつけるのではなく、同じ姿勢を長時間続けていないかという視点も大切です。
運動不足
身体を動かす機会が減ると、首や肩、肩甲骨周辺を動かす時間も少なくなります。特にデスクワーク中心の生活では、仕事中だけでなく移動時間や自宅でも座っている時間が長くなりがちです。
精神的なストレス
精神的ストレスも肩こりに関係する要因の一つです。仕事や日常生活でストレスが続いている場合には、身体的な負担だけでなく生活全体を見直すことも大切です。
肩こりだと思っていたら首や肩の病気だったケース
「肩こり」と感じていても、実際には頚椎や肩関節などの病気が関係していることがあります。
日本整形外科学会では肩周辺の疾患として、肩関節周囲炎(五十肩)、肩腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、胸郭出口症候群など複数の病気を挙げています。
頚椎の病気
頚椎や椎間板などの問題によって、首や肩の痛みだけでなく、腕や手のしびれ、力の入りにくさなどが現れることがあります。
単なる肩こりだと思っていても、腕や手のしびれ、筋力低下などの神経症状を伴う場合には、整形外科での評価を検討してください。
五十肩(肩関節周囲炎)
「肩こり」と「五十肩」は同じものではありません。
五十肩では肩関節に痛みが生じ、腕を上げる、髪を整える、服を着替えるなどの動作が難しくなることがあります。夜間に肩が痛むこともあります。
「肩が凝る」という感覚よりも、肩を動かした時の痛みや動かせる範囲の制限が目立つ場合には、肩関節そのものに問題がないか確認することが大切です。
肩腱板断裂
肩の腱板が損傷・断裂する病気です。腕を上げる時の痛み、夜間痛、腕を上げる時に力が入りにくいなどの症状が現れることがあります。
特に中高年で肩の痛みが続いている場合には、「年齢による肩こり」と決めつけず整形外科への相談を検討してください。
胸郭出口症候群
首から腕へ向かう神経や血管が圧迫されることで、肩や腕の痛み、しびれなどが現れることがあります。
肩こりだけでなく腕や手のしびれなどを伴っている場合には、単純な筋肉疲労だけと決めつけないことが重要です。
肩こり以外の病気によって肩周辺に症状が出ることもある
肩周辺の症状があるからといって重大な病気があるとは限りません。しかし、肩こり単独ではなく、ほかにどのような症状が出ているのかを見ることが大切です。
心臓の病気
狭心症や心筋梗塞などでは、胸部の症状だけでなく、首、肩、背中、腕などに痛みや不快感が広がることがあります。胸部症状が目立たないケースもあるため注意が必要です。
特に、胸の圧迫感や痛み、息苦しさ、冷や汗、吐き気などに加えて肩や腕の痛みが現れた場合には、「肩こりだろう」と考えてマッサージやストレッチで様子を見るのではなく、速やかに医療につながることを優先してください。
脳・神経の病気
肩や首の違和感だけで脳の病気と判断することはできません。
ただし、突然経験したことのない激しい頭痛が起こった、ろれつが回らない、顔や手足の片側が動かしにくい、意識がおかしいなどの症状を伴う場合には緊急性がある可能性があります。
このような場合には「肩こりから頭痛が起こった」と自己判断せず、速やかに医療機関へ相談してください。
関節リウマチなどの炎症性疾患
関節リウマチなどでは、肩だけではなく複数の関節に痛みや腫れ、こわばりなどが現れることがあります。
肩周辺の症状に加えて手指など複数の関節に症状がある、朝のこわばりが続くなどの場合には医療機関へ相談しましょう。
目の問題
長時間のパソコン作業などでは、目の疲れと肩こりを同時に感じることがあります。
ただし、急激な視力低下、強い目の痛み、視野の異常などがある場合には「眼精疲労による肩こり」と自己判断せず、眼科へ相談してください。
歯や顎の問題
噛みしめや歯ぎしり、顎関節周辺の問題などと首・肩周辺の症状が同時にみられる場合もあります。
歯の痛み、顎の痛み、口を開けにくい、噛むと痛いなどの症状がある場合には歯科への相談を検討しましょう。
危険な肩こりを見分けるために確認したい症状
「肩こりが何日続いたら危険」という単純な基準はありません。期間だけではなく、症状の強さや変化、肩こり以外にどのような症状があるかを確認することが大切です。
次のような症状がある場合には、肩こりとして長期間様子を見るのではなく、医療機関への相談を検討してください。
・突然これまでにない強い頭痛が起こった
・胸の痛みや圧迫感、息苦しさがある
・冷や汗や強い吐き気を伴う
・顔や手足の片側に麻痺やしびれが現れた
・ろれつが回らない、言葉が出にくい
・意識がおかしい
・腕や手に力が入りにくくなってきた
・歩きにくさなどが出てきた
・転倒や交通事故のあとから強い首・肩の痛みがある
・発熱などの全身症状を伴う
・原因不明の体重減少など肩こり以外の変化もある
特に突然の胸部症状や神経症状などがある場合には、緊急性がある可能性があります。
肩こりは何科を受診すればいい?
肩こりが続いていて病気が心配な場合、「何科へ行けばいいの?」と迷う方もいると思います。
首や肩そのものの痛み、肩の動かしにくさ、腕や手のしびれなどがある場合には、まず整形外科が代表的な受診先です。
肩こりの診察では、症状についての問診、神経学的診察、肩関節の可動域や頚椎疾患などの確認が行われ、必要に応じてX線、MRI、筋電図などの検査が検討されます。
一方、胸痛・息苦しさなどがある場合、目の異常を伴う場合、歯や顎の症状を伴う場合などでは受診先が変わります。
緊急性が高い症状がある場合には、診療科を自分で決めることより、速やかに医療につながることを優先してください。
病院で「異常なし」と言われたのに肩こりが続く場合
医療機関で検査を受けても大きな異常が見つからず、それでも肩こりが続いている方もいます。
肩こりには長時間同じ姿勢を続けること、運動不足、精神的ストレスなどさまざまな要因が関係します。
そのため、医療機関で重大な疾患などが否定された後も症状が続く場合には、日常生活や身体の使い方を見直すことも選択肢になります。
例えば、長時間同じ姿勢になっていないか、仕事の途中で身体を動かしているか、モニターや机・椅子が作業しにくい状態になっていないか、運動する機会が減っていないかなどを確認してみましょう。
肩こりで整骨院へ行ってもいい?
筋肉や身体の使い方などが関係する肩こりについて、整骨院などへ相談する方もいます。
ただし、整骨院ではX線やMRI、血液検査などによって病気を診断することはできません。
「まず整骨院へ通い、改善しなかったら病院」という順番を一律に決めるのではなく、腕や手のしびれ・筋力低下、強い頭痛、胸部症状など病気が疑われる症状がある場合には医療機関への受診を優先してください。
また、施術を受けて一時的に肩が楽になったとしても、それだけで病気がないと判断することはできません。
鍼灸整骨院かまたきでの肩こりへの考え方
鍼灸整骨院かまたきでは、肩こりについて首や肩だけを見るのではなく、いつから症状があるのか、どのような仕事や生活をしているのか、どのような動作で症状が変化するのかなどを確認します。
そのうえで首・肩周辺や肩甲骨周辺など身体の状態を確認し、ご希望や状態に合わせて整体・鍼灸などをご提案します。
ただし、整骨院では内科疾患や頚椎・肩関節などの病気を確定診断することはできません。症状から医療機関での検査が必要と考えられる場合には、病院への受診を優先してください。
千葉市で肩こり・首こりの整体・鍼灸について詳しく見る
https://kamataki-seikotsu.com/katakori/
よくある質問
肩こりの裏に病気が隠れていることはありますか?
あります。ただし、肩こりがあるだけで重大な病気を疑う必要はありません。頚椎や肩関節などの疾患だけでなく、肩とは別の病気によって肩周辺に痛みや違和感を感じる場合もあるため、肩こり以外の症状がないか確認することが重要です。
どんな肩こりなら病院へ行った方がいいですか?
強い痛みが続く、腕や手にしびれ・筋力低下がある、肩が動かしにくいなどの場合は整形外科への相談を検討してください。胸痛、息苦しさ、突然の激しい頭痛、麻痺などを伴う場合には速やかに医療機関へ相談してください。
肩こりと頭痛が一緒に起こることはありますか?
肩こりに頭痛を伴うことはあります。ただし、突然の激しい頭痛や麻痺、ろれつが回らないなどの神経症状を伴う場合には、単なる肩こりと自己判断しないでください。
肩こりと手のしびれがある場合は何科ですか?
首や肩の痛みと手・腕のしびれがある場合には、頚椎や神経などが関係している可能性があるため、まず整形外科が代表的な受診先です。
肩こりが何か月続いたら病院へ行くべきですか?
「何か月」という期間だけで判断することはできません。症状が強い、悪化している、しびれや筋力低下など別の症状がある場合には、長期間待たずに医療機関へ相談してください。
肩こりは整骨院で判断できますか?
筋肉や身体の動きなどを確認することはできますが、整骨院で内科疾患や頚椎・肩関節などの病気を確定診断することはできません。病気が疑われる症状がある場合には医療機関での検査が必要です。
病院で異常なしと言われても肩こりが続くことはありますか?
あります。長時間同じ姿勢を続けること、運動不足、精神的ストレスなどが肩こりに関係する場合があります。重大な疾患などが否定された後は、身体の使い方や生活環境を見直すことも選択肢になります。
まとめ
肩こりには、長時間同じ姿勢を続けること、猫背や前かがみ、運動不足、精神的ストレスなど日常生活に関連するさまざまな要因があります。
一方で、頚椎疾患、五十肩、肩腱板断裂、胸郭出口症候群などによって肩こりや肩周辺の症状を感じることもあります。日本整形外科学会も、肩こりの診察では肩関節や頚椎疾患などを確認し、明らかな原因疾患があればその治療が必要としています。
さらに、胸の圧迫感、息苦しさ、冷や汗などに肩・腕などの症状を伴う場合には心臓の病気も考慮する必要があります。急性冠症候群では肩や腕などへ症状が広がる場合があり、胸部症状が目立たないケースも報告されています。
「肩こりだから大丈夫」と決めつけず、普段とは違う症状や、しびれ・筋力低下、胸部症状、突然の激しい頭痛などを伴う場合には医療機関への相談を優先してください。

