腱鞘炎(ドケルバン病)はなぜ起きる?親指・手首の痛みの原因と対処法を解説

「親指を動かすと手首が痛い」
「スマホを使うと親指の付け根がつらい」
「抱っこや家事で手首が痛くなった」

このような症状がある方は、腱鞘炎の一つである“ドケルバン病”の可能性があります。

ドケルバン病は、親指を動かす腱と、その腱を包む腱鞘に負担がかかることで起こる手首の痛みです。

特に、スマホ操作やパソコン作業、家事、育児、仕事で手をよく使う方に起こりやすい症状です。

痛みを我慢して使い続けると、親指を動かしにくくなったり、物を持つ動作がつらくなったりすることがあります。

腱鞘炎(ドケルバン病)とは?

腱鞘炎とは、筋肉と骨をつなぐ“腱”と、その腱を包む“腱鞘”の間で炎症が起きている状態です。

ドケルバン病は、親指側の手首に起こる腱鞘炎です。

親指を広げたり、握ったり、手首を小指側へ曲げたりした時に、手首の親指側へ痛みが出やすいのが特徴です。

手首の痛みが強くなると、ペットボトルを開ける、フライパンを持つ、赤ちゃんを抱っこする、スマホを操作するなどの動作がつらくなることもあります。

ドケルバン病で起こりやすい症状

ドケルバン病では、親指側の手首に痛みや腫れが出やすくなります。

特に、親指を動かした時や、手首をひねった時に痛みが強くなるケースがあります。

症状が進むと、親指に力が入りにくくなったり、物を持つ時にズキッと痛んだりすることもあります。

痛みが軽い段階では「少し休めば大丈夫」と思いやすいですが、手は日常生活で使う場面が多いため、負担が抜けにくい部位でもあります。

腱鞘炎になりやすい人の特徴

腱鞘炎は、手首や親指を繰り返し使うことで起こりやすくなります。

特に、スマホを長時間使う方、パソコン作業が多い方、料理や掃除など家事で手をよく使う方、赤ちゃんの抱っこが多い産後の方、美容師・料理人・楽器演奏・ゴルフなど手首を使う仕事や趣味がある方は注意が必要です。

また、産後や更年期の女性は、ホルモンバランスの変化によって腱や腱鞘に負担が出やすいと考えられています。

産後の方は、抱っこや授乳、沐浴などで手首に負担がかかる機会も多くなります。

スマホやパソコン作業との関係

最近は、スマホ操作による親指の使いすぎで手首の痛みを感じる方が増えています。

スマホを片手で持ち、親指だけで画面を操作する動作が続くと、親指側の腱に負担がかかりやすくなります。

また、パソコン作業でも、マウス操作やキーボード入力が続くことで、前腕から手首にかけて筋肉が硬くなりやすくなります。

手首だけではなく、首や肩の姿勢が崩れている方では、腕全体の負担が増えているケースもあります。肩こりや首こりも強い方は、ストレートネックや姿勢の影響も一緒に確認することが大切です。

ドケルバン病は自然に治る?

軽い炎症であれば、手を休めることで痛みが落ち着くこともあります。

しかし、手首や親指は日常生活で使う頻度が高いため、完全に休ませることが難しい部位です。

そのため、一度痛みが軽くなっても、スマホや家事、仕事で再び負担がかかると痛みを繰り返すことがあります。

「痛いけど使えるから大丈夫」と放置していると、親指を動かすだけで痛くなったり、物を持つ動作が難しくなったりする場合もあります。

病院ではどんな治療をする?

整形外科では、まず安静や湿布、痛み止め、装具による固定などの保存療法が行われることがあります。

痛みが強い場合は、炎症を抑える注射が検討されることもあります。

それでも改善しない場合や、日常生活への支障が大きい場合には、手術が検討されることもあります。

ただし、どの方法が合うかは状態によって異なります。

強い腫れやしびれ、指の動かしにくさがある場合は、まず医療機関で確認することも大切です。

自分でできる対処法

痛みが強い時は、まず手首や親指を無理に使わないことが重要です。

スマホを片手で長時間操作しない、重い荷物を親指側で支えない、抱っこや家事の時に手首だけで支えないなど、日常の使い方を見直すだけでも負担は変わります。

炎症が強い時に無理なストレッチや強いマッサージを行うと、かえって痛みが強くなることがあります。

特に、親指側の手首に熱感や腫れがある時は、無理に動かさず、状態を見ながら対処することが大切です。

整形外科で行う治療法について

ドケルバン病の治療は大きく2つの治療法があります。

・保存療法
・手術療法

それぞれに特徴があるので詳しく解説していきます。

保存療法

ドケルバン病の保存療法は主に4つの治療法があります。

・患部の安静
・注射や湿布などの投薬療法
・温熱やマッサージなどの物理療法
・ストレッチや生活指導を含めたリハビリ

患部の安静

手の使い過ぎが原因のため、できるだけ手首を使わず安静にすることが基本です。悪化の防止と予防のためにテープやバンドを用いて簡易的に固定する場合もあります。

投薬療法

手首や親指周辺の痛みや腫れに対して湿布薬や痛み止めを処方し患部の炎症を抑え痛みの鎮静化を図ります。痛みが強い場合は腱鞘の中に直接ステロイドを注射することもあります。注射の効果は約3か月~6か月間持続します。

物理療法

炎症が落ち着いて腫れや痛みが緩和してきたら、電気療法や温熱療法などで血液の循環を良くして、手首の筋肉の緊張を和らげます。

リハビリテーション

患部の炎症が治ってきた段階から可動域の改善のため運動療法を行います。手首周辺の硬くなった筋肉や関節をストレッチしたり、筋力アップのトレーニングを行います。

手術療法

手術療法は以下の2つの条件の場合、検討されることがあります。

・保存療法を行ったが症状が改善されず、日常生活に大きな支障がある場合

・手の痺れが発生し、指の筋力が弱くなって生活に支障がある場合

ステロイド注射を数回行っても症状の改善がみられない場合に手術を検討されます。

手術療法では、狭くなった腱鞘を切開して、腱の通り道を広げて神経の圧迫を改善します。手術は局所麻酔を使い、おおよそ1時間程度で完了するため日帰りで行えます。

注射や手術を行うリスクは?

注射や手術は、体に針やメスを入れるため感染症のリスクがあります。手術の場合、術後すぐに動かす事は可能ですが、縫った場所が水に濡れ放置してしまうと、患部からばい菌が入って化膿したり腫れる可能性があるため注意が必要です。また、皮膚などを切開するため、術後に手首の動きに制限が生じることもあります。

手術が成功した場合でも、痛みが取れなかったり、手首や親指の曲げ伸ばしが改善しないままの人もいます。痛みの有無に限らず、術後は硬くなった筋肉を柔らかくするためにも毎日リハビリを行うことが重要です。

当院の治し方

ドケルバン病は安静することで痛みが落ち着くことはあっても症状が治ることはありません。再発の多い症状であり、再発を繰り返すたびに症状は悪化し、酷くなってから整形外科に行くと手術を勧められることもあります。

ドケルバン病が再発を繰り返す理由は、日常生活において手首を安静にすることが難しいからだと考えられます。

鍼・電気療法

当院では、痛みが出ている部分に対して鍼や電気を用いて腫れと炎症を抑えていきます。

ドケルバン病が起きているいる手首は筋肉が硬くなっているため、動かすたびに摩擦が生じ痛みが出ています。痛みが強い状態のとき、筋肉の柔軟性を上げようと、無理に外側から押したり伸ばしたりするとかえって筋肉を傷めることもあるので注意が必要です。

痛みの状態を観察しながら炎症を起こしている深部の筋肉にアプローチしていきます。

筋肉へのアプローチ

ドケルバン病の改善においてアプローチしていく筋肉は以下の通りです。

親指側の筋肉、前腕の筋肉

ドケルバン病は主に親指の使い過ぎによって起こります。痛みや炎症により、関節が硬くなったり、腱鞘が癒着しないように親指を動かしていきます。

また、手首を動かす際連動している、前腕の筋肉も緊張が強いため一緒にほぐすことで親指の関節が緩みやすくなります。

外側上腕筋間中隔

上腕にある大きな筋肉の間にある『筋』です。大きな筋肉に挟まれいるため負担がかかりやすい部位です。ここを緩めることで前腕から手首、親指までの動きが良くなります。

肩関節と肩甲下筋

ドケルバン病のような腱が炎症した状態が長く続くとカルシウムが沈着することがあります。カルシウムは主に肩関節周辺に沈着し、動かした際、肩のこわばりを感じたり、筋力の低下を招きます。肩関節の動かしにくさが原因となり手首に余計な負担がかかりドケルバン病の症状の悪化を招く恐れもあります。そのため、肩甲骨はがしを行うなどして肩関節や肩甲下筋を柔らかくすることで上腕、前腕、手首などの動きがスムーズになります。

よくある質問

腱鞘炎は放っておけば治りますか?

軽い場合は休ませることで落ち着くこともありますが、手を使い続ける生活では再発しやすいです。痛みが長引く場合は早めに状態を確認することが大切です。

ドケルバン病とばね指は違いますか?

どちらも腱鞘炎の一種ですが、ドケルバン病は親指側の手首に痛みが出やすく、ばね指は指の曲げ伸ばしで引っかかりが出ることが多いです。ばね指については、<a href=”https://kamataki-seikotsu.com/baneyubi/”>ばね指の原因と治療法</a>でも解説しています。

産後の手首の痛みも腱鞘炎ですか?

産後はホルモンバランスの変化に加えて、抱っこや授乳で手首に負担がかかりやすくなります。親指側の手首が痛む場合は、ドケルバン病の可能性があります。

腱鞘炎に鍼灸は使えますか?

状態によりますが、手首や前腕の筋肉の緊張が強い場合、鍼灸で筋肉や血流にアプローチすることがあります。無理に揉んだり伸ばしたりするより、状態に合わせた施術が大切です。

まとめ

腱鞘炎、特にドケルバン病は、親指や手首の使いすぎによって起こりやすい症状です。

スマホ、パソコン、家事、育児、仕事などで手を使う時間が長い方は、知らないうちに手首へ負担が蓄積していることがあります。

痛みを我慢して使い続けると、日常生活に支障が出ることもあります。

親指を動かすと手首が痛い、物を持つと痛い、育児や仕事で手首がつらいという方は、早めに体の使い方と手首の状態を見直すことが大切です。