
「花粉症が一番多い国はどこ?」「日本は世界一の花粉症大国なの?」「海外にも花粉症はあるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
日本では春になるとスギやヒノキの花粉症に悩む人が多いため、「花粉症は日本特有の病気」と思われることがあります。しかし、花粉によるアレルギー性鼻炎は日本だけの問題ではなく、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカなど世界各地でみられます。
一方、インターネット上では「花粉症が多い国ランキング」が紹介されることがありますが、世界各国を同じ条件で調査した最新データは限られています。国によって対象年齢、調査方法、花粉症・アレルギー性鼻炎の定義などが異なるため、単純に「世界1位は○○」と順位を決めることは困難です。
ここでは、花粉症の世界ランキングを単純に作れない理由、日本の花粉症の割合、オーストラリアなど海外の状況、国によって原因となる花粉が違う理由について解説します。
花粉症が多い国の世界ランキングはある?
結論からいうと、現在の各国の花粉症有病率を同一条件で比較して、
「世界1位○○、2位○○、3位○○」
と正確に順位付けできる統一された最新ランキングを示すのは困難です。
花粉症について調べると、
「日本は世界一の花粉症大国」
「オーストラリアは花粉症が多い」
「イギリスは花粉症の人が多い」
など、さまざまな情報が出てきます。
しかし、国によって調査年や対象年齢が違うだけでなく、「花粉症」「季節性アレルギー性鼻炎」「アレルギー性鼻炎」など調査対象の定義も異なります。
そのため、それぞれの国で報告されている数字を並べて、そのまま世界ランキングにすることには注意が必要です。
日本の花粉症の割合はどのくらい?
日本では花粉症が増加傾向にあります。
日本で行われた全国疫学調査では、2019年の推定有病率は、
花粉症全体 42.5%
スギ花粉症 38.8%
スギ以外の花粉症 25.1%
でした。
1998年には花粉症全体が19.6%、スギ花粉症が16.2%だったため、約20年間で大きく増加しています。
ただし、この調査は全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした調査を基にした推計です。
そのため、他国で行われた一般人口へのアンケート調査などと単純に比較して、「日本は世界で○位」と判断することはできません。
日本は世界一の花粉症大国なの?
日本では非常に多くの人が花粉症に悩んでいますが、「日本が世界で花粉症患者の割合1位」と断定することはできません。
海外でも花粉や草などを原因とするアレルギー性鼻炎は広くみられます。
また、日本ではスギ花粉症が大きな問題になっている一方、海外ではイネ科植物や樹木、雑草など、その地域に生育する植物が原因となります。
つまり、「花粉症」という同じ言葉を使っていても、原因となる植物や飛散時期、調査方法が国によって異なるのです。
オーストラリアは花粉症が多い?
オーストラリアでも花粉症は珍しくありません。
オーストラリア政府のAustralian Institute of Health and Welfareによると、2022年には約610万人、人口の**23.9%**がhay feverまたはallergic rhinitis(花粉症・アレルギー性鼻炎)を有すると推定されています。オーストラリア健康福祉研究所
15歳以上では27%と報告されています。
ただし、この23.9%を日本の42.5%とそのまま比較して「日本の方が花粉症が多い」と結論付けることはできません。
日本の数字とオーストラリアの数字では、調査対象や質問方法、対象となる疾患の定義などが異なるからです。
オーストラリアでは何の花粉が多い?
日本ではスギ・ヒノキ花粉が有名ですが、オーストラリアでは原因となる植物が異なります。
地域によって違いがありますが、イネ科植物などの花粉が花粉症の原因になります。
またオーストラリアでは、花粉と気象条件が重なることで「雷雨ぜん息(thunderstorm asthma)」が問題になることもあります。
海外へ旅行・移住すると、「日本では症状がなかった時期なのに鼻水や目のかゆみが出る」ということもあり得ます。
ニュージーランドにも花粉症はある?
ニュージーランドにも花粉症はあります。
日本からニュージーランドへ行けば花粉症が必ずなくなるわけではありません。
日本とニュージーランドでは植生や季節が異なるため、原因となる植物や花粉の飛散時期も異なります。
また、日本と南半球では季節が逆です。日本が冬の時期にはニュージーランドは夏になるため、日本の花粉カレンダーをそのまま当てはめることはできません。
「スギが少ない国へ行けば花粉症にならない」と考えるのではなく、自分がどの花粉に反応しているのかを知ることが重要です。
イギリスにも花粉症はある?
イギリスにもhay feverと呼ばれる花粉症があります。
日本のようにスギ花粉だけが大きな問題になるのではなく、樹木、イネ科植物、雑草などさまざまな花粉が症状の原因になります。
そのため、日本でスギ花粉症がある人がイギリスへ行った場合、必ず同じ症状が出るとは限りません。
反対に、日本では問題にならなかった植物の花粉に反応する可能性もあります。
アメリカにも花粉症はある?
アメリカでも季節性アレルギー性鼻炎はみられます。
国土が非常に広いため、原因となる植物や花粉シーズンは地域によって大きく異なります。
樹木、イネ科植物、ブタクサなどの花粉が原因になることがあり、「アメリカの花粉症」と一括りにすることはできません。
海外の花粉症を考えるときには、国だけでなくどの地域へ行くのか、どの季節なのか、どの植物にアレルギーがあるのかまで考える必要があります。
なぜ日本では花粉症が多いの?
日本で花粉症、特にスギ花粉症が多い背景の一つとして、スギ人工林があります。
戦後の木材需要に対応するため、スギやヒノキの植林が進められました。
スギは樹齢25~30年程度になると花粉の生産量が多くなり、現在では花粉を多く生産する樹齢に達したスギ林が広く存在しています。環境省も、日本でスギ花粉症が多い背景として戦後に造成されたスギ・ヒノキ人工林について説明しています。
ただし、日本人だから花粉症になりやすい、あるいは日本人の身体が弱いから花粉症が多いという意味ではありません。
花粉への曝露量やアレルギー素因など、複数の要因が関係します。
世界では原因となる花粉が違う
花粉症の原因はスギだけではありません。
どの植物の花粉が問題になるかは、その国や地域の植生によって変わります。
日本ではスギやヒノキが代表的ですが、地域によってシラカンバ、ハンノキ、イネ科、ブタクサなども原因になります。
海外でも同様に、樹木、イネ科植物、雑草などさまざまな植物が原因になります。
そのため、
「スギ花粉のない国=花粉症のない国」
ではありません。
海外へ行けば花粉症は治る?
日本のスギ花粉に反応している人が、スギ花粉の少ない地域へ移動することで、その期間の症状が軽くなる可能性はあります。
しかし、これは花粉症そのものが治ったという意味ではありません。
移動先に自分が反応する別の花粉が飛んでいれば、症状が出る可能性があります。
旅行や長期滞在を考えている場合には、「その国に花粉症があるか」だけでなく、滞在する地域でどの植物の花粉がいつ飛散するのかを確認するとよいでしょう。
花粉症の国別割合を単純比較できない理由
世界の花粉症を比較するときに最も注意したいのが、調査条件の違いです。
たとえば、
・調査した年
・対象者の年齢
・自己申告か医師の診断か
・花粉症だけかアレルギー性鼻炎全体か
・対象となる植物
・調査地域
などが研究によって異なります。
実際、過去に15か国35地域の20~44歳を調査した研究では、鼻アレルギーの有病率に地域差があり、スペインの一地域で11.8%、オーストラリアのメルボルンで46.0%と大きな違いが報告されています。これは国別ランキングではなく地域比較であり、現在の各国全人口の順位を示したものではありません。
このように、世界各国を同じ条件で比べた最新データがない状態で、異なる研究の数字を組み合わせてランキングを作ると誤解を招く可能性があります。
花粉症が少ない国はどこ?
「花粉症が一番少ない国」を正確に決めることも困難です。
花粉症の有病率は国だけでなく、同じ国内でも地域によって異なる場合があります。
気候、植生、都市化、花粉への曝露量などさまざまな条件が異なるためです。
また、ある植物の花粉が少なくても、別の植物による花粉症が多い可能性があります。
旅行先を「花粉症が少ない国ランキング」だけで決めるより、自分の原因花粉と旅行先の花粉シーズンを確認する方が実用的です。
海外旅行するときの花粉症対策
海外でも基本的な考え方は日本と同じです。
自分が何の花粉に反応しているのかを確認し、旅行先の花粉情報を調べましょう。
症状が出やすい方は、旅行前に医療機関で相談しておくと安心です。
また、海外へ薬を持っていく場合には、渡航先によって医薬品の持ち込みルールが異なる場合があるため、事前に確認してください。
花粉症は何科へ行けばいい?
鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの鼻症状が中心の場合には、耳鼻咽喉科が代表的な受診先です。
目のかゆみや充血などが強い場合には眼科、アレルギー疾患について相談する場合にはアレルギー科なども選択肢になります。
毎年症状が強く、仕事や学校、睡眠など日常生活へ影響している場合には、「花粉の時期だから仕方ない」と我慢せず医療機関へ相談しましょう。
鍼灸整骨院かまたきでできること
花粉症はアレルギー疾患です。
鍼灸整骨院かまたきでは、花粉症そのものを診断したり、「鍼灸で花粉症が治る」「免疫を正常化できる」と説明したりすることはありません。
鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状については、耳鼻咽喉科・眼科・アレルギー科など適切な医療機関への相談をおすすめします。
一方、花粉シーズンに首や肩のこり、身体の痛みなど運動器の症状もある場合には、その症状について身体の状態を確認したうえで整体や鍼灸を検討します。
よくある質問
花粉症が一番多い国はどこですか?
世界各国を同じ条件で比較した最新の統一データは限られているため、「花粉症が世界で一番多い国は○○」と正確に順位付けすることは困難です。国によって調査方法、対象年齢、花粉症の定義などが異なります。
日本は花粉症が世界一多い国ですか?
日本では花粉症が多く、2019年の全国疫学調査では花粉症全体の推定有病率が42.5%、スギ花粉症が38.8%でした。ただし、他国とは調査条件が異なるため、日本が世界1位と断定することはできません。
オーストラリアは花粉症が多いですか?
オーストラリア政府の統計では、2022年に人口の23.9%がhay feverまたはallergic rhinitisを有すると報告されています。ただし、日本の調査とは条件が異なるため単純比較はできません。
ニュージーランドにも花粉症はありますか?
あります。日本とは植生や季節が異なるため、原因となる花粉や飛散する時期も異なります。日本のスギ花粉が少なくても、別の植物によって症状が出る可能性があります。
イギリスにも花粉症はありますか?
あります。イギリスではhay feverと呼ばれ、樹木、イネ科植物、雑草などの花粉によって症状が出ることがあります。
海外に行けば花粉症は治りますか?
原因となる花粉が少ない地域へ移動すると、その期間の症状が軽くなる可能性はありますが、花粉症そのものが治ったという意味ではありません。渡航先に別の原因花粉があれば症状が出ることがあります。
花粉症が少ない国はどこですか?
国や地域によって原因植物や調査方法が異なるため、「世界で花粉症が最も少ない国」を正確に決めることは困難です。旅行目的なら、自分の原因花粉と渡航先の花粉シーズンを確認する方が実用的です。
まとめ
花粉症は日本だけの病気ではなく、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカなど世界各地にあります。
日本では2019年の全国疫学調査で花粉症全体42.5%、スギ花粉症38.8%という推定値が報告されています。一方、オーストラリアでは2022年にhay feverまたはallergic rhinitisが23.9%と報告されています。
ただし、これらは調査方法や対象となる疾患の定義が異なるため、その数字だけを並べて「日本が1位、オーストラリアが2位」のようなランキングを作ることは適切ではありません。
このページでは「世界ランキング」を探してきた人に対して、ランキングを捏造せず、実際に確認できる国別データを提示する形にするのが最も良いです。

