
膝の痛みと一言で言っても色々あります。
膝関節の内側、外側、前側、後ろ側など、痛みや症状があらわれる場所によって考えられる原因や該当する疾患が変わってきます。
あなたの膝の痛みはどんな痛みですか?
まずはどこがどのように痛いのかチェックします。
膝を動かしてみて、どんなときに痛みが出るのか確認します。曲げたり伸ばしたり、無理のない範囲で軽くしゃがんだりジャンプしてみてもいいです。
次に、触ったり軽く押してみて痛みがあるかの確認をします。触るときは熱感がないかの確認もしましょう。
見た目も重要です。パッと見た感じ、赤みや腫れがないかの確認をします。
痛い場所から推測される膝の疾患
「ここが痛いから絶対にこの病気だ!」と決まるわけではありません。
ここには、痛い場所から推測されるもので一般的に多い膝の疾患がまとめられていますが、あなたの痛みがこの疾患とは限りません。
- 内側…①内側半月板損傷②鵞足炎(がそくえん)
- 外側…③外側半月板損傷④腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
- 前側…⑤膝蓋腱炎(しつがいけんえん)⑥膝蓋大腿痛症候群(しつがいだいたいつうしょうこうぐん)
- 後ろ側…⑦後十字靭帯損傷⑧ベーカー嚢腫(のうしゅ)
上記の膝疾患を解説
1・膝の内側の痛み
①内側半月板損傷(ないそくはんげつばんそんしょう)
内側半月板は、膝の内側にある軟骨で、膝の動きをスムーズにする役割があります。スポーツなどで膝を強くひねったり、日常生活の中でも膝への負荷が大きくかかることで痛みが生じます。50代以降の中高年に多くみられます。
②鵞足炎(がそくえん)
鵞足は、膝の内側にある3本の筋肉が集まる部分です。膝の曲げ伸ばしやひねる動作で腱や骨が擦れることで起こります。ランニングのような繰り返しの動作によるオーバーユースで起こりやすいです。
2・膝の外側の痛み
③外側半月板損傷(がいそくはんげつばんそんしょう)
外側半月板が運動や外傷、加齢による機能低下によって傷つき炎症を起こします。特にスポーツによって、膝をひねったり、急な方向転換などの動きで外側半月板が傷つき痛みが生じます。
④腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
腸脛靭帯は、太ももの外側から膝の外側にかけて伸びる靭帯です。膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで骨が擦れて炎症を起こすスポーツ障害の1つです。主にマラソンやバスケットをする人に多くみられ、別名ランナー膝とも呼ばれます。
3・膝の前の痛み
⑤膝蓋腱炎(しつがいけんえん)
膝蓋腱は、膝の前側にある腱です。ジャンプやランニングの繰り返しによるオーバーユースが原因で起こります。別名、ジャンパー膝とも呼ばれ、陸上競技、バスケット、バレーボール、サッカーなどのスポーツをする人に多くあらわれます。特に成長期の男性に多くみられます。
⑥膝蓋大腿痛症候群(しつがいだいたいつうしょうこうぐん)
加齢による軟骨のすり減りや筋力低下や、運動による膝への繰り返される負担や衝撃が原因となり、膝蓋骨(ひざのお皿)の裏側に痛みが出ます。特に中高年の女性に多くみられ、階段の上り下りや長時間座っているときに痛みが強くなります。
4・膝の後ろの痛み
⑦後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)
後十字靭帯は、膝の中で膝の安定性を保つ重要な靭帯です。膝関節を曲げたままの状態ですねの前側の骨を強く打つことで後十字靭帯膝を損傷することが原因です。交通事故やスポーツによる外傷で起こります。男性に多いです。
⑧ベーカー嚢腫(ベーカーのうしゅ)
膝の後ろにある袋状の滑液包が膨らんで起こる病気です。膝の使い過ぎによって関節が炎症し、関節液の分泌が量が増える状態がベーカー嚢腫です。中年の女性に多くみられ、加齢や体重増加、膝の使い過ぎが原因です。
整骨院で出来る膝の疾患に対する施術
整骨院では、レントゲンなどの画像撮影や薬の処方、投薬、注射、メスなどの器具を使用して患部を切除する外科手術などの医療行為を行うことはできません。
そのため、「取り除かなければならない腫瘍がある」「靭帯が完全に断裂している」や「骨が変形している」など、確実に手術を要する重篤な症状は診ることができません。
整骨院で診ることができる症状
次のような症状のときは、整骨院で施術することで改善する可能性が高いので参考にしてください。
- レントゲンなど画像検査の結果、特に異常が見当たらなかった症状
- 明らかな腫れがみられない
- 患部に熱感があるが歩行可能
- 出血を伴っていない
- 痛くなったり良くなったりを繰り返している
- 日常生活では問題ないが、運動のときのみ痛みが出てくる など
以上のような症状は、整骨院で診ることができます。
早期の施術をすすめる理由
痛みが強い時は安静にしていることが1番です。
しかし、痛みが少し落ち着き、動かせるくらいの状態まで回復してきたら、安静を続けるよりもなるべく早期に施術を開始することで回復を早めることができます。
整骨院で行う施術の基本は、筋肉の働きを上げることです。
硬くなっている筋肉のハリやコリを取りのぞき柔軟性を高めることで血液の流れが良くなります。血液は新鮮な酸素と栄養を全身の細胞に運ぶ役割りをしているため、細胞が元気になり傷の修復が早くなります。
これが人間に備わっている自然治癒力というものです。
なにもしていなくてもゆるゆる回復していきますが、回復の段階で疲労や負担、衝撃の方が大きければ回復が追い付きません。そのため、患部を施術することでその力を最大限に引き出し回復を早めるお手伝いをする、これが整骨院で行う施術です。
膝に痛みがある時のセルフケアのご紹介
痛みに対するケア
・冷やす…幹部がジンジンズキズキ、痛みが強い時
・温める…重だるい痛み、動かしづらい、鈍い痛み、繰り返す痛み
安静にする期間
痛みの程度によって異なりますが、痛めた部分をアイシングして腫れが落ち着いた後、2~3日安静にしても症状があるときは専門家を受診しましょう。
軽い捻挫なら2~4週間の安静が通常です。無理をすると長引くため、早期にしっかりとケアしましょう。
痛くなったり治まったりを繰り返す痛みは根本治療が必要です。専門家を受診しましょう。
サポーターの使用
サポーターを付けることで良くなることはありませんが、患部に余計な負担がかからなくなるのでどうしても動く必要がある時に有効です。
湿布を貼る・痛み止めを飲む
湿布に傷を治す効果はありません。痛みがある時湿布を貼って患部を冷やすことで炎症を落ち着かせ、それ以上の炎症の拡大を防ぐ事ができます。
痛み止めも湿布と同様、傷を治す効果はありません。痛みを落ち着かせることで身体のストレスを取りのぞけるため、しっかりと休息することができます。痛み止めを飲んで痛みが落ち着いたからと言って無理に動いてしまうと症状が悪化してしまう場合もあるので気を付けましょう。
ストレッチや運動
痛みがある時にオリジナルの運動を行うことは症状の悪化に繋がる可能性があるためお勧めしません。
しかし、血流を良くする上ではストレッチは有効です。
ストレッチは入浴後など、身体が温かい時が筋肉も柔らかいのでおすすめです。無理のない範囲で股関節や足首、ふくらはぎや腰などゆっくり伸ばしましょう。
膝の関節を守るために筋力をつけることは良い事ですが、痛みがある時の筋トレは控えましょう。