
不眠症は、大きく以下の4つのタイプに分類されます。それぞれで原因や対策が異なるため、ご自身の症状に当てはめてみてください。
目次
1. 入眠困難(にゅうみんこんなん)
定義:床についてから眠りにつくまでに30分以上かかる状態。
主な原因:
- ストレス・不安感(仕事や人間関係の悩み)
- 就寝前のスマホ・パソコン操作による覚醒(ブルーライト)
- カフェインやアルコールの過剰摂取
- 昼間の運動不足
対策例:
- 就寝前1時間はスマホやPCを避け、リラックスできる読書や深呼吸を行う
- 寝室を暗く、静かで快適な温度に整える
- 就寝3〜4時間前までにカフェインやアルコールを控える
- 日中に適度な運動を取り入れ、体内リズムを整える
2. 中途覚醒(ちゅうとくかくせい)
定義:夜間に何度も目が覚めてしまい、再入眠が難しい状態。
主な原因:
- 環境音や明るさの変化(雨音、外灯の明かりなど)
- トイレに頻繁に行きたくなる(排尿トラブル)
- 更年期などホルモンバランスの乱れ
- 心配事や考え事で頭が冴えてしまう
対策例:
- 遮光カーテンを使い、外光や車のライトを遮断する
- 就寝前の水分摂取を控え、トイレ回数を減らす
- ホルモンバランスを整える生活習慣(ウォーキング、ストレッチ等)
- 目覚めてしまったら、無理に寝ようとせず軽くストレッチや深呼吸で再度眠気を誘う
3. 早朝覚醒(そうちょうかくせい)
定義:朝早く(例:4〜5時頃)に目が覚め、その後眠れない状態。
主な原因:
- 加齢(高齢になるほど増加)
- うつ病や気分障害(気持ちが落ち込みやすい)
- 就寝前の強いストレス
- 慢性的な痛みやかゆみ
対策例:
- 抑うつ状態が疑われる場合は、心療内科・精神科への相談を検討
- 就寝前のリラクゼーション(ぬるめの入浴、アロマテラピー)を導入
- 寝室の温度・湿度を適切に保ち、快適な睡眠環境をつくる
- 目覚めてしまったら照明をつけず、再度布団の中で深呼吸や軽いストレッチ
4. 熟眠障害(じゅくみんしょうがい)
定義:睡眠時間は十分でも、眠りが浅く「寝た気がしない」「疲れが取れない」と感じる状態。
主な原因:
- 睡眠時無呼吸症候群(いびきや呼吸停止)
- レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
- ストレスやうつ状態による睡眠の質低下
- 寝具(マットレス・枕)の不適合
対策例:
- 睡眠時無呼吸が疑われる場合は、睡眠専門医での検査・CPAP療法などを相談
- 足のむずむず感が強い場合は、鉄分補給や薬物療法を検討
- 枕やマットレスを見直し、自分に合った硬さ・高さを選ぶ
- 定期的にストレッチや軽い運動を取り入れ、睡眠の深度を高める
1. 眠れない主な原因
1.1 精神的・心理的要因
- ストレス・不安
仕事のトラブルや人間関係、将来への不安などで交感神経が高まり、脳が休まらなくなる。 - うつ状態やパニック症状
抑うつ気分や過度の緊張が続くと、寝つきや睡眠の質が低下しやすい。
1.2 生活習慣の乱れ
- 不規則な睡眠リズム
就寝・起床時間が毎日大きく異なると、体内時計が狂い、自然な眠気が訪れにくくなる。 - カフェイン・アルコールの過剰摂取
コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは覚醒作用が長く続く。アルコールは入眠を助けるものの、睡眠中盤で覚醒を招きやすい。
1.3 環境的要因
- 寝室環境の不適切さ
明るすぎる照明、騒音、温度・湿度の不快感が睡眠を妨げる。 - スマホやパソコンの光(ブルーライト)
スクリーンから出る光が脳を覚醒状態に保ち、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を抑える。
1.4 身体的・医学的要因
- 痛みやかゆみ、呼吸障害(いびき・睡眠時無呼吸)
体の不快感や呼吸トラブルがあると、途中で何度も目覚める原因に。 - ホルモンバランスの変動
女性の生理前後、更年期、甲状腺機能の異常など。 - 薬剤の副作用
一部の抗うつ薬、降圧薬、ステロイドなどは睡眠障害を引き起こすことがある。
2. 眠るための具体的な方法
2.1 睡眠環境の整備
- 遮光カーテンやアイマスクで光を遮断
完全に暗い環境が寝つきを良くする。 - 耳栓やホワイトノイズで騒音をシャットアウト
雑音が気になる場合は、リラックス音楽やホワイトノイズを小音量で流すのも効果的。 - 室温は夏なら26℃前後/冬は16〜18℃を目安に
湿度は50〜60%前後に保つと快適に眠りやすい。 - 寝具の見直し
マットレスや枕が古くなっていると体圧分散が悪く、寝返りが多くなる。自分に合った硬さ・高さのものを選ぶ。
2.2 規則的な生活リズムの確立
- 毎日同じ時間に起床する
休日も大きくずらさないことで体内時計を安定させる。 - 朝日を浴びる
目覚めたら15分程度、カーテンを開けて太陽光を浴びると、体内時計がリセットされやすい。 - 昼寝は15~20分以内にとどめる
長時間の昼寝は夜の睡眠に影響を与えやすい。
2.3 日中の過ごし方
- 適度な運動習慣
ウォーキングやストレッチなどの軽い有酸素運動を午後に30分程度行うと、夜の深い睡眠を促進。 - カフェインは午後2時までに
遅くとも就寝6時間前には控える。 - バランスの良い食事
トリプトファンを含む卵・乳製品・ナッツ類、ビタミンB群を含む全粒穀物・緑黄色野菜を積極的に。
2.4 就寝前のリラックス法
- スマホ・PCは就寝1時間前にオフ
ブルーライトを避けることで脳がリラックスしやすくなる。 - ぬるめのお風呂(38〜40℃)に10~15分浸かる
入浴後に体温が下がるタイミングで眠気が強まる。 - 深呼吸や瞑想/マインドフルネス
ゆっくりとした腹式呼吸で副交感神経を優位に。
2.5 認知行動療法(CBT-I)の活用
- 寝床と睡眠時間の相関づけ
「寝室=寝る場所」と体に覚え込ませるため、寝つけないときは一度ベッドを離れて別の部屋で読書などをし、眠気が来たら再びベッドへ戻る。 - 思考の書き出し
寝る前に不安や今日やることを書き出し、頭の中を整理する。
2.6 補助的手段
- サプリメント
メラトニン(※日本では医薬品扱い)、GABA、テアニン、マグネシウム等。効果・安全性には個人差があるため、医師や薬剤師に相談を。 - 市販の睡眠改善薬・漢方
漢方薬(抑肝散、加味帰脾湯など)やOTCの誘眠成分配合薬は、あくまで一時的な補助として。
3. おわりに
以上の対策を組み合わせ、**「環境」「習慣」「心身のリラックス」「認知の整理」**の4つの視点からアプローチすることが大切です。まずは無理のない範囲で1~2点から取り組み、徐々に習慣化を図ってみてください。改善が見られない、あるいは日常生活に支障を感じる場合は、早めに睡眠外来や心療内科など専門機関の受診をおすすめします。お大事にしてください。