
「立ち上がるときに膝が痛い」「歩き始めだけ膝が痛む」「階段の上り下りがつらくなってきた」「膝に水がたまると言われた」このような症状が続いている場合、変形性膝関節症が関係している可能性があります。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨などに変化が起こり、痛みや腫れ、動かしにくさなどが現れる疾患です。初期には立ち上がりや歩き始めなど動作を開始するときだけ痛むことがありますが、進行すると階段や正座が難しくなり、さらに進むと安静にしていても痛みが続いたり、膝の変形や歩行困難が現れたりする場合があります。
ただし、膝が痛いからといって必ず変形性膝関節症とは限りません。半月板損傷、靭帯損傷、鵞足炎、膝蓋大腿関節の障害など、膝周辺にはさまざまな疾患があります。
この記事では、変形性膝関節症の初期症状、原因、進行すると起こる症状、検査、手術をしない治療、運動療法、注射、手術、日常生活で気をつけたいこと、整体や鍼治療の位置づけまで分かりやすく解説します。
- 1 変形性膝関節症とは?
- 2 変形性膝関節症の初期症状
- 3 進行すると階段や正座がつらくなる
- 4 膝に水がたまることもある
- 5 末期になると安静時にも痛むことがある
- 6 変形性膝関節症の原因
- 7 年齢だけが原因ではない
- 8 肥満と変形性膝関節症
- 9 膝の痛み=軟骨がすり減っているとは限らない
- 10 変形性膝関節症の検査
- 11 変形性膝関節症は手術しなくても治療できる?
- 12 運動療法は重要
- 13 太ももの筋肉を鍛える
- 14 ウォーキングはしてもいい?
- 15 膝が痛いときにやってはいけないこと
- 16 薬物療法
- 17 ヒアルロン酸注射
- 18 サプリメントについて
- 19 サポーターは使用してもいい?
- 20 杖を使う方法もある
- 21 手術を検討するのはどんな場合?
- 22 人工膝関節置換術とは?
- 23 「手術したくないから整体だけ」はおすすめしません
- 24 鍼灸整骨院かまたきでの変形性膝関節症への考え方
- 25 整体を何回受ければ膝痛は治る?
- 26 変形性膝関節症に鍼治療はできる?
- 27 こんな膝痛は早めに医療機関へ
- 28 よくある質問
- 29 まとめ
変形性膝関節症とは?
膝関節は、大腿骨、脛骨、膝蓋骨などで構成されています。関節の表面は軟骨で覆われており、膝を滑らかに動かしたり、歩行や階段などで加わる衝撃を和らげたりする役割をしています。
変形性膝関節症では、関節軟骨の変性や摩耗などが進み、関節炎、骨棘、関節の変形などが起こります。関節炎による痛みや腫れ、動かしにくさが生じ、進行すると関節の可動域制限も強くなることがあります。
ただし、レントゲンで変形が見つかったからといって、必ず強い痛みがあるとは限りません。画像所見だけでなく、本人の痛みや動き、日常生活への影響などを合わせて判断することが重要です。
変形性膝関節症の初期症状
代表的なのが「動き始めの痛み」です。
椅子から立ち上がるとき、朝起きて歩き始めるとき、長時間座ったあとに歩き出すときなどに膝が痛みます。初期では少し休むと痛みが軽くなることもあります。日本整形外科学会でも、初期では立ち上がりや歩き始めなど動作開始時に痛みが出ることが代表的な症状として挙げられています。
「歩いているうちに楽になるから大丈夫」と考えて放置してしまう方もいますが、このような症状を繰り返している場合には、一度膝の状態を確認しておくことをおすすめします。
進行すると階段や正座がつらくなる
症状が進むと、歩行だけでなく階段の上り下りや正座など、膝を深く曲げたり体重を支えたりする動作がつらくなることがあります。
膝が完全に伸びにくい、深く曲げられないなどの可動域制限が出る場合もあります。日本整形外科学会では、中期になると正座や階段昇降が難しくなると説明しています。
膝に水がたまることもある
変形性膝関節症では、関節内の炎症によって関節液が増え、「膝に水がたまった」と言われる状態になることがあります。主な症状は膝の痛みと腫れです。
膝が急に大きく腫れた場合には、変形性膝関節症だけでなく感染や結晶誘発性関節炎など別の原因も考える必要があります。特に発熱や強い熱感、激痛を伴う場合には早めに医療機関を受診してください。
末期になると安静時にも痛むことがある
変形性膝関節症がさらに進行すると、歩いているときだけではなく、座っているときや寝ているときにも痛む場合があります。
O脚などの変形が目立ってきたり、膝が十分に伸びなくなったりして、歩行が難しくなることもあります。日本整形外科学会では、末期には安静時でも痛みが取れず、変形が目立ち、膝が伸びず歩行困難になる場合があるとしています。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症には、明確な原因となる疾患がない「一次性」と、外傷や病気などをきっかけに発症する「二次性」があります。
一次性では加齢に伴う軟骨の変化だけでなく、肥満や遺伝的な素因なども関係します。二次性では、骨折、靭帯損傷、半月板損傷、感染後などを背景として変形性膝関節症が起こる場合があります。
そのため、「膝を使いすぎたから軟骨がすり減った」と一つの原因だけで説明することはできません。
年齢だけが原因ではない
年齢を重ねるほど変形性膝関節症は増えますが、「年齢のせいだから治療しても意味がない」ということではありません。
運動、体重管理、薬物療法、装具、必要に応じた手術など、症状や生活への影響に合わせた治療によって痛みや機能の改善を目指します。運動療法は、変形性膝関節症の治療や予防において重要とされています。
肥満と変形性膝関節症
体重が多い場合には、膝にかかる負担の増加につながる可能性があります。
特に過体重・肥満があり、変形性膝関節症による症状がある方では、食事と運動を組み合わせた体重減少によって痛みや身体機能が改善することが報告されています。
ただし、「BMI25以下にならなければ改善しない」「何kg減らせば必ず治る」ということではありません。無理な減量をせず、必要に応じて医師や管理栄養士と相談しながら進めましょう。
膝の痛み=軟骨がすり減っているとは限らない
膝が痛いからといって、痛みを軟骨だけで説明することはできません。
関節炎、滑膜、骨、関節周囲の組織など複数の部分が症状に関係します。また、レントゲン上の変形と本人が感じる痛みの強さが必ず一致するわけでもありません。
そのため、「軟骨が減っているから痛い」「筋肉が硬いから痛い」と一つだけに原因を決めつけないことが大切です。
変形性膝関節症の検査
医療機関では、痛みの場所、膝の腫れ、動かせる範囲、O脚などの変形、圧痛などを確認します。
そのうえでレントゲン検査を行い、関節の隙間や骨の変形、骨棘などを確認します。必要に応じてMRI検査などが行われる場合もあります。
膝の痛みが長期間続いている場合には、自己流のストレッチだけで様子を見るのではなく、一度整形外科で状態を確認することをおすすめします。
変形性膝関節症は手術しなくても治療できる?
変形性膝関節症と診断されたからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。
症状の程度や日常生活への影響などに合わせて、まず保存療法を行うことがあります。
代表的なのが、運動療法、薬物療法、体重管理、装具療法などです。国内外のガイドラインでも運動は変形性膝関節症の中心的な非手術治療の一つとして推奨されています。
運動療法は重要
「膝が痛いから動かさない方がいい」と考える方は少なくありません。
しかし、長期間ほとんど身体を動かさなくなると、大腿四頭筋など膝を支える筋力が低下し、日常生活がさらに難しくなる可能性があります。
変形性膝関節症では、症状に合わせた筋力トレーニングや有酸素運動などが推奨されています。どの運動が最も優れているか一つに決まっているわけではなく、本人が継続できる方法を選ぶことが重要です。
太ももの筋肉を鍛える
膝周囲の機能を維持するため、大腿四頭筋などを鍛える運動が行われます。
例えば椅子に座り、片脚をゆっくり伸ばして数秒保ち、その後ゆっくり戻す運動などがあります。
ただし、痛みを我慢して高負荷のスクワットを繰り返す必要はありません。運動した後に膝の痛みや腫れが大きく増える場合には、負荷が強すぎる可能性があります。
ウォーキングはしてもいい?
症状が強くなければ、ウォーキングも運動の選択肢になります。
ただし、「毎日必ず1万歩」「週3回以上歩けば治る」といった一律の基準を設ける必要はありません。
膝の状態によってはウォーキングより自転車運動や水中運動など、衝撃の少ない運動が取り入れやすい場合があります。AAOSでも、ジョギングなど衝撃の大きい運動から低衝撃の運動へ切り替える方法が紹介されています。
膝が痛いときにやってはいけないこと
「変形性膝関節症では○○を絶対にやってはいけない」と一律に決めることはできません。
ただし、強い痛みを我慢しながら運動を続ける、痛みや腫れが明らかに増える運動を繰り返す、急に高負荷のトレーニングを始めるなどは避けましょう。
また、「膝を守るために一切動かない」という極端な安静もおすすめできません。
現在の状態に合わせて、無理なく続けられる運動量を見つけることが大切です。
薬物療法
痛みが強い場合には、医師の判断で鎮痛薬や外用薬などが使用されることがあります。
薬には効果だけでなく副作用や使用上の注意点もあるため、持病やほかの薬を使用している場合には医師や薬剤師へ相談してください。
ヒアルロン酸注射
変形性膝関節症に対して、ヒアルロン酸の関節内注射が行われる場合があります。
ただし、すべての方に同じ効果が出る治療ではありません。ヒアルロン酸注射を受けるかどうかは、症状、これまでの治療内容、医師の判断などを考慮して決めます。
「ヒアルロン酸を入れれば軟骨が再生する」という治療ではない点にも注意が必要です。
サプリメントについて
グルコサミンやコンドロイチンなど、膝関節を対象としたサプリメントが多数販売されています。
しかし、サプリメントを飲めば関節軟骨が元通りに再生したり、変形性膝関節症そのものが治ったりすると考えるのは適切ではありません。
使用したい場合には、薬との相互作用なども含めて医師や薬剤師へ相談すると安心です。
サポーターは使用してもいい?
膝サポーターなどの装具が、症状によって使用される場合があります。
サポーターの目的は、膝を完全に固定することではなく、動作時の安心感や支持などを目的とする場合があります。
種類によって役割が異なるため、「膝が痛い人は全員同じサポーター」というものではありません。
杖を使う方法もある
歩くと膝の痛みが強い方では、杖を使うことで歩行時の負担を軽減できる場合があります。
「まだ杖を使う年齢ではない」と我慢する必要はありません。
外出や買い物などで歩くこと自体を避けるようになっている場合には、杖などを利用して活動を維持する方法も検討しましょう。
手術を検討するのはどんな場合?
保存療法を続けても痛みが強く、歩行、階段、仕事、買い物などの日常生活への支障が大きい場合には手術が検討されることがあります。
手術には高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術などがあり、年齢、変形の程度、痛み、活動量などによって適した方法が異なります。現在の国内ガイドラインでも、病状に応じて保存療法と手術療法を選択する考え方が示されています。
人工膝関節置換術とは?
人工膝関節置換術は、傷んだ膝関節の表面を人工関節へ置き換える手術です。
進行した変形性膝関節症で、保存療法だけでは日常生活を維持することが難しい場合などに検討されます。
ただし、手術には感染、血栓症などの合併症もあるため、メリットとリスクについて整形外科医から十分な説明を受けて判断することが重要です。
「手術したくないから整体だけ」はおすすめしません
「できれば手術はしたくない」と考えるのは自然なことです。
ただし、手術を避けたいからといって、整形外科への受診をやめて整体だけで治そうとすることはおすすめしません。
失われた軟骨や変形した骨を、整体によって元通りにすることはできません。
まず膝の状態を整形外科で確認し、保存療法で経過をみられる段階なのか、手術を検討すべき状態なのかを判断してもらうことが重要です。
鍼灸整骨院かまたきでの変形性膝関節症への考え方
鍼灸整骨院かまたきでは、「変形性膝関節症=太もも・ふくらはぎの筋肉が硬いことが原因」と一律には考えません。
膝関節そのものの変形を整体で元通りにすることはできませんが、膝周囲や股関節、足首などの筋肉の状態や身体の動かし方を確認し、動きにくさや周囲の筋肉の負担などに対して施術や運動指導を検討します。
すでに整形外科で変形性膝関節症と診断されている方は、現在の診断内容や医師から説明されている治療方針を確認したうえでご相談ください。
整体を何回受ければ膝痛は治る?
現在の記事では「5回程度で7割以上、10回以上で2割、20回程度で残り1割が痛みが取れる」という説明を掲載していました。
しかし、変形性膝関節症の程度、年齢、筋力、体重、生活環境などによって経過は大きく異なります。
そのため、「5回受ければ改善する」「20回受ければ痛みが取れる」と一律には説明できません。
施術を行う場合にも、一定期間で変化を確認し、改善が乏しい場合には施術内容や治療方針を見直すことが重要です。
変形性膝関節症に鍼治療はできる?
膝周囲の痛みなどに対して鍼治療を補完的に使用する場合があります。
膝OAに対する鍼治療については研究があり、一部のガイドラインでは条件付きで治療選択肢として扱われていますが、変形した関節や失われた軟骨を鍼によって元に戻す治療ではありません。
そのため、鍼治療だけに頼るのではなく、必要に応じて運動療法、体重管理、薬物療法、整形外科での治療などを組み合わせて考えることが大切です。
こんな膝痛は早めに医療機関へ
膝の痛みが何週間も続いている、膝が大きく腫れている、膝が伸びない・曲がらない、歩くことが難しい、転倒や事故後から強く痛む、膝が熱を持ち発熱もある場合などは、整骨院だけで様子を見ず整形外科を受診してください。
また、急に膝がロックして動かなくなった場合や、外傷後に体重をかけられない場合なども早めの評価が必要です。
よくある質問
変形性膝関節症の初期症状は何ですか?
代表的なのは、立ち上がりや歩き始めなど動作を開始するときの膝の痛みです。初期では休むと痛みが軽くなる場合があります。
変形性膝関節症になったら必ず手術が必要ですか?
必ず手術になるわけではありません。症状の程度に応じて、運動療法、薬物療法、体重管理、装具などの保存療法を行い、日常生活への支障が大きい場合などに手術を検討します。
変形性膝関節症は運動した方がいいですか?
症状に合わせた運動は重要です。筋力強化や有酸素運動などによって痛みや身体機能の改善が期待されます。ただし、痛みや腫れが大きく増える運動は避けてください。
膝が痛いときは歩かない方がいいですか?
完全に安静にする必要があるとは限りません。痛みの程度に合わせて活動量を調整し、必要に応じて低衝撃の運動や杖なども検討します。
ヒアルロン酸注射をすれば軟骨が再生しますか?
ヒアルロン酸注射は変形した軟骨を元通りに再生させる治療ではありません。使用するかどうかは症状や医師の判断によって異なります。
変形性膝関節症は整体で治りますか?
整体で変形した骨や失われた関節軟骨を元通りにすることはできません。膝周囲の筋肉の負担や身体の動かしにくさなどに対して補助的に施術を検討する場合があります。
変形性膝関節症に鍼治療はできますか?
膝周囲の痛みなどに対して補完的に鍼治療を使用する場合があります。ただし、関節の変形や失われた軟骨そのものを鍼で治す治療ではありません。
膝に水がたまったら抜いた方がいいですか?
膝の腫れの原因や程度によって対応は異なります。自己判断せず、強い腫れや痛みがある場合には整形外科で原因を確認してください。
まとめ
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨などに変化が起こり、痛み、腫れ、動かしにくさなどが現れる疾患です。初期では立ち上がりや歩き始めだけ痛むことがありますが、進行すると階段や正座が難しくなり、さらに進むと安静時痛、変形、歩行困難などが現れる場合があります。
一方で、変形性膝関節症と診断されたからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。運動療法は主要な治療の一つであり、過体重・肥満がある場合には体重管理も症状改善に役立つ可能性があります。
大切なのは、「軟骨がすり減ったから何をしても治らない」と諦めることでも、「筋肉をほぐせば変形性膝関節症が治る」と考えることでもありません。現在の膝の状態を確認し、運動、体重管理、薬物療法、装具、必要に応じた手術などから適切な方法を選ぶことが重要です。
鍼灸整骨院かまたきでは、変形した関節を元通りにすることを目的とするのではなく、膝周囲の筋肉の緊張や身体の動かしにくさなどを確認し、医療機関での治療を妨げない範囲で施術や運動指導をご提案します。

