
「ドアノブを回すと手首の小指側が痛い」「タオルを絞るとズキッとする」「ペットボトルのフタを開けると痛む」「手をつくと小指側が痛い」という場合、TFCC損傷が関係していることがあります。
TFCCとは、手首の小指側にある「三角線維軟骨複合体」と呼ばれる組織です。手首の安定性や前腕をひねる動き、手首に加わる力の分散などに関係しているため、TFCCを損傷するとドアノブを回す、タオルを絞る、手をつく、重い物を持つといった動作で小指側に痛みが出ることがあります。
TFCC損傷には転倒などによる外傷性のものと、加齢や繰り返す負担などが関係するものがあります。ただし、手首の小指側が痛いからといって必ずTFCC損傷とは限りません。腱の障害、尺骨突き上げ症候群、骨折、関節の障害などでも似た場所に痛みが出ます。
この記事では、TFCC損傷とは何か、軽度の場合にみられる症状、自宅でできるセルフケア、サポーター、治療方法、腱鞘炎との違い、病院を受診した方がよい症状まで詳しく解説します。
- 1 TFCC損傷とは?
- 2 TFCC損傷が軽度の場合はどんな症状?
- 3 TFCC損傷のセルフケアは?
- 4 TFCC損傷で痛みが出やすい動作
- 5 小指から手首にかけて痛い場合はTFCC損傷?
- 6 TFCC損傷の主な原因
- 7 手首の小指側が痛いのは腱鞘炎?TFCC損傷との違い
- 8 TFCC損傷はどうやって診断する?
- 9 TFCC損傷は自然に治る?
- 10 TFCC損傷の治療方法
- 11 TFCC損傷はどのくらいで治る?
- 12 TFCC損傷でサポーターは効果がある?
- 13 TFCC損傷を自分でマッサージしてもいい?
- 14 痛みが落ち着いたら動かした方がいい?
- 15 TFCC損傷は何科を受診すればいい?
- 16 整骨院で対応できるTFCC周辺の症状
- 17 鍼治療でTFCC損傷は治る?
- 18 よくある質問
- 19 まとめ
TFCC損傷とは?
TFCCとは「Triangular Fibrocartilage Complex」の略で、日本語では「三角線維軟骨複合体」と呼ばれます。手首の小指側にあり、軟骨や靱帯など複数の組織から構成され、手首の安定性を保つ、前腕を回す動きを支える、手首に加わる力を分散するといった役割を担っています。
そのためTFCCを損傷すると、特に前腕をひねる、手首を小指側へ曲げる、手をついて体重をかけるなどの動作で痛みが出ることがあります。
TFCC損傷が軽度の場合はどんな症状?
TFCC損傷は症状の程度に差があります。比較的軽い場合には、安静にしているとほとんど痛まないものの、ドアノブを回す、タオルを絞る、ペットボトルのフタを開ける、手をつくなど、特定の動作をしたときだけ手首の小指側が痛むことがあります。
ただし、「痛みが弱い=損傷が軽い」と自分で判断できるわけではありません。痛みが続いている、転倒してから症状がある、徐々に悪化している、手首に力が入らないなどの場合には、症状の強さだけで判断せず整形外科で確認してください。
TFCC損傷のセルフケアは?
TFCC損傷が疑われるときのセルフケアで重要なのは、痛い部分を強く揉んだり無理にストレッチしたりすることではなく、痛みを起こしている動作を減らして手首への負担を抑えることです。特にタオルを絞る、ドアノブを強く回す、重い物を片手で持つ、手をついて体重を支えるなど、痛みを再現する動作は一時的に減らしましょう。
仕事や家事などでどうしても手首を使わなければならない場合には、サポーターやスプリントなどで手首を安定させる方法が選択されることもあります。ただし、転倒後に強く痛む、大きく腫れている、変形している、しびれや力の入りにくさがある場合には、セルフケアを続けるのではなく骨折などほかの外傷も含めて整形外科で確認してください。
TFCC損傷で痛みが出やすい動作
TFCC損傷では、主に手首の小指側に痛みが現れます。安静時にはあまり痛くなくても、ドアノブや鍵を回す、タオルや雑巾を絞る、ペットボトルのフタを開ける、フライパンを持つ、重い荷物を持つ、手をついて立ち上がるなど、手首をひねったり体重をかけたりする動作で痛みが出ることがあります。
ゴルフやテニスなど手首を使うスポーツでも症状が出る場合があります。また、痛みだけでなく握力低下、不安定感、クリック音や引っかかり感などを伴うこともあります。ただし、手首から音がするだけでTFCC損傷と判断することはできません。
小指から手首にかけて痛い場合はTFCC損傷?
「小指から手首にかけて痛い」「小指側の手首だけが痛い」という症状はTFCC損傷でもみられますが、痛む場所だけでTFCC損傷と判断することはできません。
手首の小指側にはTFCC以外にも腱、関節、骨、神経などさまざまな組織があります。尺側手根伸筋腱の障害、尺骨突き上げ症候群、遠位橈尺関節の障害、骨折などでも同じような場所に痛みが出ることがあります。
特に転倒して手をついてから痛い場合には、TFCC損傷だけでなく骨折なども考える必要があります。「小指側だからTFCC」と自己判断せず、痛みが強い場合や長く続く場合には整形外科を受診してください。
TFCC損傷の主な原因
TFCC損傷には、転倒などによって一度に強い力が加わる外傷性のものと、加齢による変化や繰り返す負担などが関係するものがあります。
転倒して手をついた
代表的な原因の一つです。転倒したときに手をつくと、体重や衝撃が手首へ加わります。その際に手首がひねられたり小指側へ強い力が加わったりすることで、TFCCを損傷することがあります。
スポーツ
ゴルフ、テニス、バドミントン、野球、体操、ウエイトトレーニングなど、手首を繰り返し使うスポーツで症状が現れることがあります。一度の強い衝撃だけでなく、繰り返し負担が加わることで小指側の痛みが出る場合もあります。
仕事・家事・育児
重い物を繰り返し持つ、ドライバーなどの工具を使う、雑巾を絞る、料理をする、赤ちゃんを抱っこするなど、手首を繰り返し使う動作が症状に関係することがあります。
加齢による変化
TFCCには加齢による変性がみられることがあります。そのため、明らかな事故やスポーツ外傷がなくてもTFCCの変化が確認される場合があります。
ただし、MRIなどでTFCCの変性や損傷所見が確認されたとしても、それが必ず現在の痛みの原因とは限りません。画像所見だけではなく、実際に痛む場所や動作、診察所見などを合わせて評価する必要があります。
尺骨の長さや手首の構造
人によっては、前腕にある尺骨が橈骨より相対的に長い場合があります。この状態は「尺骨プラスバリアンス」と呼ばれ、手首の小指側へ負担がかかる要因になる場合があります。
手首の小指側が痛いのは腱鞘炎?TFCC損傷との違い
手首の小指側が痛いと「腱鞘炎では?」と思うことがありますが、小指側の痛みにはTFCC損傷以外にも複数の原因があります。例えば尺側手根伸筋腱の腱鞘炎や腱障害などでも小指側に痛みが出ることがあります。
TFCC損傷では、手首の小指側に痛みがあり、前腕をひねる、手首を小指側へ曲げる、手をつくなどの動作で症状が出ることがあります。一方、腱の障害でも似た場所に痛みが出るため、痛む場所だけで両者を正確に見分けることはできません。
なお、親指側の手首に痛みが出る代表的な腱鞘炎にはドケルバン病があります。「小指側だからTFCC」「腱のあたりだから腱鞘炎」と自己判断せず、症状が続く場合には整形外科で評価を受けることが大切です。
TFCC損傷はどうやって診断する?
TFCC損傷の診断では、痛みが出たきっかけ、痛む場所、どの動作で痛むかなどを確認し、手首の動きや圧痛、不安定性などを診察します。必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像検査が行われます。
レントゲン
TFCCは軟骨や靱帯などの軟部組織から構成されるため、一般的なレントゲンだけでTFCCそのものを直接確認することは困難です。ただし、骨折の有無、尺骨と橈骨の関係、関節や骨の状態などを確認するために重要な検査です。
MRI
TFCCなどの軟部組織を評価するためにMRIが行われることがあります。ただし、MRIでTFCCの変性や損傷所見が見つかったからといって、それだけで現在の痛みの原因と確定するわけではありません。
診断ではMRIだけでなく、痛みの場所、症状が出る動作、診察所見などを総合的に判断します。
関節鏡
症状や治療経過などによっては、関節鏡を使ってTFCCの状態を確認する場合があります。損傷の状態によっては、そのまま処置が行われることもあります。
TFCC損傷は自然に治る?
比較的軽いTFCC損傷では、痛みを起こす動作を減らし、必要に応じて固定などを行うことで症状が軽減する場合があります。そのため、TFCC損傷だからといって最初から手術を行うわけではなく、状態に応じて保存療法が行われます。
一方、手首に強い不安定性がある場合や、保存療法を続けても症状が改善しない場合などには手術が検討されることがあります。「自然に治るだろう」と長期間我慢するのではなく、痛みが続いている場合には損傷の状態を確認することが重要です。
TFCC損傷の治療方法
治療方法は損傷の種類や程度、手首の安定性、年齢、仕事やスポーツなどによって異なります。
手首への負担を減らす
まずは痛みを引き起こしている動作を減らします。手をつく、強くひねる、重い物を持つ、ラケットやクラブを振るなど、痛みが出る動作を無理に繰り返さないことが大切です。
サポーター・スプリント
手首の動きを制限して負担を減らすために、サポーターやスプリントなどが使用されることがあります。固定する範囲や期間は損傷の状態によって異なるため、「必ず○週間固定すれば治る」と一律には言えません。
薬物療法・注射
痛みなどの症状に対して、医師の判断で消炎鎮痛薬などが使用される場合があります。症状や状態によっては注射治療が検討されることもあります。
リハビリテーション
痛みや損傷の状態に合わせて、手首の可動域、前腕の筋力、握力、手首周囲の安定性などを回復させるためのリハビリが行われることがあります。痛みがある状態でいきなり強い筋力トレーニングをするのではなく、状態に合わせて段階的に進めることが大切です。
手術
保存療法を続けても症状が改善しない場合や、損傷の状態、手首の不安定性などによっては手術が検討されることがあります。関節鏡による処置やTFCCの修復などが行われる場合がありますが、必要な治療は損傷部位や状態によって異なります。
TFCC損傷はどのくらいで治る?
TFCC損傷の回復期間は、損傷の程度、原因、年齢、手首の安定性、仕事やスポーツ、治療方法などによって異なります。比較的早く症状が軽減する場合もあれば、数か月以上にわたって治療やリハビリが必要になる場合もあります。
そのため「軽度なら○週間で治る」「3か月経てば必ず治る」といった一律の期間で判断することはできません。痛みが減っても、いきなりスポーツや重労働へ戻すと再び症状が出る場合があるため、手首の状態を確認しながら段階的に復帰することが大切です。
TFCC損傷でサポーターは効果がある?
TFCC損傷では、手首の余計な動きを抑えて負担を軽減する目的でサポーターやスプリントを使用する場合があります。特に仕事や家事などで手首を使わなければならない場合には、手首を安定させる方法の一つになります。
ただし、サポーターを着ければTFCCの損傷そのものが必ず治るという意味ではありません。また、必要以上に長期間固定すると手首の動きや筋力に影響する場合もあるため、痛みが続いている場合には医師などへ使用方法を相談してください。
TFCC損傷を自分でマッサージしてもいい?
TFCC損傷が疑われる場合、痛む場所を強く揉んだり圧迫したりすることはおすすめできません。TFCCは手首の深部にある複合組織であり、強く揉むことで損傷部分が修復されるわけではありません。
また、痛みがある状態で無理に手首をストレッチしたり、痛みを確認するために何度もひねったりすることも避けましょう。セルフケアでは「痛い場所を刺激する」ことよりも、「何をすると痛いのかを確認し、その負担を減らす」ことが重要です。
痛みが落ち着いたら動かした方がいい?
長期間まったく手首を動かさない状態が続くと、関節の動かしにくさや筋力低下につながる場合があります。一方で、損傷した直後や痛みが強い状態で無理に動かすことも適切ではありません。
いつからどの程度動かすかは損傷の状態によって異なります。必要に応じて整形外科やリハビリ担当者などの指導を受けながら、症状に合わせて段階的に動かしていきます。
TFCC損傷は何科を受診すればいい?
TFCC損傷が疑われる場合には整形外科を受診します。特に手・手首を専門としている医師へ相談できる場合には、より詳しい評価を受けられることがあります。
転倒や事故後に手首が強く痛む、大きく腫れている、変形している、手や指にしびれがある、指が動かしにくい、手首に力が入らない、安静にしていても強く痛むなどの場合には、セルフケアだけで様子を見ず早めに受診してください。また、痛みが軽くても数週間続いている場合や、何度も同じ場所の痛みを繰り返す場合にも一度確認してもらうとよいでしょう。
整骨院で対応できるTFCC周辺の症状
鍼灸整骨院かまたきでは、TFCC損傷そのものを画像検査で診断したり、断裂したTFCCを修復したりすることはできません。強い外傷やTFCC損傷が疑われる場合には、まず整形外科で状態を確認することをおすすめしています。
そのうえで、手首をかばったことで生じた前腕周辺の筋肉の張り、肘や肩周辺の負担、リハビリ後に残った動かしにくさなどについて、手首だけでなく前腕、肘、肩、仕事やスポーツでの使い方なども確認しながら施術を検討します。
鍼治療でTFCC損傷は治る?
鍼治療によってTFCCの断裂そのものを修復することはできません。そのため、TFCC損傷が疑われる強い痛みがある場合には鍼治療を優先するのではなく、まず整形外科で損傷状態を確認することが重要です。
診断後の状態によって、手首をかばったことで前腕など周囲の筋肉に張りや痛みが生じている場合には、それらの症状に対する補完的な施術として鍼治療を検討することがあります。
よくある質問
TFCC損傷のセルフケアはどうすればいいですか?
まず痛みを起こす動作を減らし、手首への負担を抑えることが大切です。サポーターなどで手首を安定させる方法もあります。痛む場所を強く揉んだり、痛みを我慢してストレッチしたりすることは避けましょう。
軽度のTFCC損傷は自然に治りますか?
比較的軽い損傷では、手首への負担を減らし、必要に応じて固定などを行うことで症状が軽減する場合があります。ただし、症状だけで損傷の程度を自己判断することはできません。痛みが続く場合には整形外科で確認してください。
TFCC損傷ではどこが痛くなりますか?
主に手首の小指側に痛みが出ます。ドアノブを回す、タオルを絞る、ペットボトルのフタを開ける、手をつくなどの動作で痛みが出ることがあります。
手首の小指側が痛いのは腱鞘炎ですか?
腱鞘炎や腱障害の場合もありますが、TFCC損傷、尺骨突き上げ症候群、骨折、関節の障害などでも小指側に痛みが出ることがあります。痛む場所だけで原因を判断することはできません。
TFCC損傷はレントゲンで分かりますか?
TFCCは軟骨や靱帯などから構成されるため、通常のレントゲンだけでTFCCそのものを直接評価することは困難です。レントゲンでは骨折や骨の状態などを確認し、必要に応じてMRIなどが行われます。
TFCC損傷はどのくらいで治りますか?
回復期間は損傷の程度、原因、手首の安定性、仕事やスポーツなどによって異なります。一律に何週間・何か月で治るとは言えないため、症状を確認しながら治療や復帰を進めます。
TFCC損傷は何科を受診すればいいですか?
TFCC損傷が疑われる場合は整形外科を受診します。特に転倒後の強い痛み、腫れ、変形、しびれ、力の入りにくさがある場合や、痛みが長く続く場合には早めに相談してください。
まとめ
TFCC損傷は、手首の小指側にある三角線維軟骨複合体を損傷した状態です。ドアノブを回す、タオルを絞る、ペットボトルのフタを開ける、手をつくといった動作で小指側に痛みが出ることがあります。
軽度の場合には安静時にはあまり痛まず、特定の動作だけで症状が出ることもありますが、痛みの程度だけで損傷の重症度を自己判断することはできません。また、小指側の手首の痛みには腱の障害、尺骨突き上げ症候群、骨折などTFCC損傷以外の原因もあります。
セルフケアでは、痛む場所を強く揉んだり無理にストレッチしたりするのではなく、まず痛みを起こしている動作を減らして手首への負担を抑えることが重要です。状態によってはサポーターやスプリントなどで手首を安定させる方法もあります。
転倒後の強い痛み、大きな腫れや変形、しびれ、力の入りにくさなどがある場合や、痛みが長期間続いている場合には整形外科を受診してください。
鍼灸整骨院かまたきでは、強いTFCC損傷が疑われる場合には整形外科での検査を優先しています。そのうえで、手首をかばったことで生じた前腕の筋肉の張りや肘・肩周辺の不調、リハビリ後に残った動かしにくさなどについて、状態を確認しながら施術を検討します。

