
腰椎すべり症とは、腰の背骨である腰椎が前後にずれた状態です。「腰椎すべり症と言われたけれど何をしてはいけないの?」「ストレッチしても大丈夫?」「コルセットはつけた方がいい?」「どんな寝方がいい?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。
腰椎すべり症があっても症状の程度には個人差があります。腰痛だけの場合もあれば、お尻や脚の痛み・しびれ、長く歩くと症状が強くなって休みたくなる間欠性跛行などがみられることもあります。
大切なのは「すべり症だから動いてはいけない」と考えるのではなく、すべり症の種類や神経の圧迫、現在の症状を確認したうえで生活や運動を調整することです。
この記事では、腰椎すべり症とはどのような病気なのか、原因や症状、やってはいけないこと、ストレッチ、コルセット、寝方、治療について解説します。
- 1 腰椎すべり症とは?
- 2 腰椎変性すべり症とは?
- 3 腰椎分離すべり症とは?
- 4 腰椎すべり症の原因
- 5 腰椎すべり症の症状
- 6 間欠性跛行とは?
- 7 腰椎すべり症でやってはいけないことは?
- 8 腰椎すべり症でやってはいけないストレッチは?
- 9 腰椎すべり症におすすめのストレッチは?
- 10 腰椎すべり症にコルセットは必要?
- 11 コルセットは寝る時もつける?
- 12 腰椎すべり症の寝方
- 13 腰椎すべり症は歩いた方がいい?
- 14 腰椎すべり症では筋トレした方がいい?
- 15 腰椎すべり症は自然に治る?
- 16 腰椎すべり症の治療
- 17 腰椎すべり症で病院へ行った方がいい症状
- 18 鍼灸整骨院かまたきでの腰椎すべり症への考え方
- 19 よくある質問
- 20 まとめ
腰椎すべり症とは?
背骨は椎骨と呼ばれる骨が連なってできています。そのうち腰の部分にある5つの椎骨を腰椎といいます。
腰椎すべり症は、上下に並んでいる腰椎の位置関係にずれが生じた状態です。
代表的なものとして、
- 腰椎変性すべり症
- 腰椎分離すべり症
があります。
同じ「すべり症」でも原因や発症する年代、症状などが異なります。
腰椎変性すべり症とは?
腰椎変性すべり症は、加齢などに伴って椎間板や椎間関節などに変化が起こり、腰椎にずれが生じるものです。
日本整形外科学会によると、腰椎変性すべり症では腰椎がずれることによって脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで症状が出ることがあります。日本航空協会
腰痛だけでなく、
- お尻の痛み
- 太ももや脚の痛み
- 脚のしびれ
- 長時間立っているとつらい
- 長く歩くと脚が痛くなる・しびれる
- 休むと再び歩ける
などがみられることがあります。
腰椎分離すべり症とは?
腰椎分離症は、成長期にスポーツなどで腰を繰り返し反らしたり回旋させたりする負荷が加わり、腰椎の後方部分に疲労骨折が生じることで起こる場合があります。
日本整形外科学会では、分離症は10歳代で起こり、その後徐々に分離すべり症へ進行する場合があると説明しています。日本航空協会
腰を反らした時の腰痛、お尻や太ももの痛み、下肢の痛みやしびれなどがみられることがあります。
ただし、分離症がある人すべてが強い症状を起こしたり、すべり症へ進行したりするわけではありません。分離症があっても日常生活に大きな支障なく生活できる人も多くいます。日本航空協会
腰椎すべり症の原因
原因はすべり症の種類によって異なります。
変性すべり症では、加齢に伴う椎間板や椎間関節などの変化が関係します。
一方、分離すべり症では、成長期に発生した腰椎分離症が関係している場合があります。
「腹筋が弱いから腰椎がずれた」「姿勢が悪いからすべり症になった」など、一つの原因だけで説明できるものではありません。
腰椎すべり症の症状
腰椎すべり症があっても症状がほとんどない場合があります。
症状がある場合には、
- 腰痛
- お尻の痛み
- 太ももやふくらはぎの痛み
- 脚のしびれ
- 長く立っていると症状が強くなる
- 長距離を歩きにくい
- 脚に力が入りにくい
などがみられます。
特に変性すべり症では脊柱管狭窄を伴い、間欠性跛行がみられることがあります。日本航空協会
間欠性跛行とは?
間欠性跛行とは、しばらく歩くと脚の痛みやしびれなどが強くなり、休憩すると再び歩けるようになる症状です。
「歩き始めは大丈夫なのに、しばらくすると脚がしびれて歩けなくなる」という場合には、腰部脊柱管狭窄症などによる神経症状が関係している可能性があります。
このような症状が続く場合には整形外科で相談してください。
腰椎すべり症でやってはいけないことは?
「すべり症になったら絶対にしてはいけない動作」が全員に共通して決まっているわけではありません。
重要なのは、自分の症状を明らかに悪化させる動作を無理に繰り返さないことです。
例えば、
- 痛みやしびれを我慢して運動を続ける
- 強い痛みが出る方向へ無理に腰を反らす
- 痛みを我慢して強いストレッチをする
- 重い物を持って症状が強くなるのに繰り返す
- 脚の筋力低下が進んでいるのに放置する
といったことは避けましょう。
「すべり症だから一切動かない」という過度な安静も、すべての人に必要なわけではありません。
運動量については症状や神経圧迫の程度などによって異なるため、整形外科などで自分に合った方法を確認することが大切です。
腰椎すべり症でやってはいけないストレッチは?
すべり症だから特定のストレッチが全員に禁止されるわけではありません。
一方で、
ストレッチ中に腰痛や脚の痛み・しびれが明らかに強くなる動きは中止してください。
特に分離症・分離すべり症では、腰を後ろへ反らした時に痛みが強くなることがあります。日本航空協会
そのため「腰が硬いから」と痛みを我慢して大きく腰を反らすストレッチを繰り返すのはおすすめできません。
また、脚のしびれが足先まで広がる、筋力が低下するなどの変化がある場合には、ストレッチを続ける前に医療機関で状態を確認してください。
腰椎すべり症におすすめのストレッチは?
すべり症の状態や症状には個人差があるため、「このストレッチをすればすべり症が改善する」という一つの方法はありません。
痛みやしびれが強くならない場合には、腰だけを無理に動かすのではなく、股関節や下肢などを軽く動かす方法を取り入れることがあります。
太ももの裏を軽く伸ばす
仰向けになり、片脚を無理のない範囲で持ち上げます。膝は軽く曲がっていても構いません。
太ももの裏に軽い伸びを感じる程度で止めます。
腰痛や脚のしびれが強くなる場合には中止してください。
股関節を軽く動かす
仰向けで膝を曲げ、痛みのない範囲で片膝を身体の方へゆっくり近づけます。
腰を無理に丸める必要はありません。
症状が楽になる範囲で行いましょう。
軽い運動を続ける
症状が強くならなければ、ウォーキングなど身体活動を続けられる場合もあります。
ただし、歩くことで脚の痛みやしびれが強くなる場合には距離や時間を調整してください。
腰部脊柱管狭窄症については、専門家の指導下で行う運動療法が、痛みや身体機能、日常生活動作の改善に役立つ可能性が示されています。Mindsガイドラインライブラリ
腰椎すべり症にコルセットは必要?
腰痛が強い時などに、症状を軽減する目的でコルセットが使用されることがあります。
ただし、
「すべり症なら必ずコルセットをつける」
「コルセットをつければ腰椎のずれが元に戻る」
というものではありません。
すべり症に脊柱管狭窄症を伴っている場合、コルセットが疼痛軽減や歩行距離の延長に役立つ可能性はありますが、装具療法全体のエビデンスは十分とはいえません。Mindsガイドラインライブラリ
コルセットが必要か、どの程度使用するかについては症状や病態に応じて医師などに相談してください。
コルセットは寝る時もつける?
寝ている時までコルセットを使用する必要があるかは、症状やコルセットを使用している目的によって異なります。
自己判断で一日中装着するのではなく、医療機関からコルセットを処方されている場合には指示された使用方法を優先してください。
腰椎すべり症の寝方
「すべり症なら必ず横向き」「仰向けはダメ」という決まりはありません。
寝ていて痛みが少なく、睡眠を取りやすい姿勢を選ぶことが基本です。
仰向けで腰がつらい場合には膝の下にクッションを置く、横向きが楽な場合には膝の間にクッションを挟むなど、自分が楽に感じる方法を試してみてもよいでしょう。
うつ伏せで腰を反らした状態になると症状が強くなる方は、その姿勢を避けます。
寝方だけですべり症そのものが治ったり、ずれが元へ戻ったりするわけではありません。
腰椎すべり症は歩いた方がいい?
歩くことを一律に禁止する必要はありません。
痛みやしびれが強くならない範囲で身体を動かすことは、体力や身体機能を維持するためにも重要です。
ただし、歩くほど脚の痛みやしびれが強くなり、休憩しなければ歩けない場合には間欠性跛行の可能性があります。
無理に歩行距離を伸ばすのではなく、整形外科で神経の状態を確認してください。
腰椎すべり症では筋トレした方がいい?
すべり症に対して腹筋や背筋を鍛えることが勧められる場合がありますが、単純に「筋肉をつければ腰椎のずれが治る」というものではありません。
運動の目的は、痛みの軽減、身体機能の維持・改善、日常生活を送りやすくすることなどです。
症状がある場合には、腰だけを強く鍛えるのではなく、体幹や股関節、下肢なども含めて状態に合った運動を行うことが重要です。
腰椎すべり症は自然に治る?
画像上確認される腰椎のずれが、ストレッチやマッサージによって元の位置へ戻るとは考えにくいです。
一方で、画像上すべり症が残っていても、痛みやしびれなどの症状が軽減することはあります。
したがって、
「骨がずれているから一生痛い」
「手術しなければ症状は絶対に改善しない」
と考える必要はありません。
治療では、画像だけでなく現在の症状や日常生活への影響も重要になります。
腰椎すべり症の治療
腰椎すべり症の治療は、症状や神経圧迫の程度などによって異なります。
保存的な治療として、
- 薬物療法
- 運動療法・リハビリテーション
- コルセットなどの装具
- 神経ブロック
などが検討されます。
日本整形外科学会では、腰椎変性すべり症について、薬や牽引・温熱、硬膜外注射などを行っても症状が改善せず、歩行や立位が制限され日常生活に支障が生じる場合には手術治療を検討するとしています。日本航空協会
手術では神経の圧迫を取り除く方法や、腰椎を固定する方法などがあり、ずれや不安定性などを考慮して選択されます。
腰椎すべり症で病院へ行った方がいい症状
腰痛だけでなく、
- 脚のしびれが強くなっている
- 脚に力が入りにくくなった
- 歩ける距離が短くなってきた
- 安静にしていても強く痛む
- 症状が徐々に悪化している
- 発熱を伴っている
- 排尿・排便に異常がある
といった場合には整形外科を受診してください。
日本整形外科学会も、腰痛に下肢のしびれや筋力低下、排尿異常などを伴う場合には速やかな整形外科受診を勧めています。日本航空協会
特に急に排尿しにくくなった、股の周囲の感覚がおかしい、両脚に強い症状が出たなどの場合には早急な医療評価が必要です。
鍼灸整骨院かまたきでの腰椎すべり症への考え方
鍼灸整骨院かまたきでは、手技や鍼灸によって「すべった腰椎を元の位置へ戻す」という施術は行いません。
腰椎すべり症と診断されている方については、痛む場所、脚のしびれの有無、どのくらい歩けるのか、どのような動作で症状が変化するのかなどを確認します。
腰や臀部周辺の筋肉の緊張など、運動器の状態が関係している場合には、症状に応じて手技や鍼灸などを検討します。
一方、脚の筋力低下、強いしびれ、歩行障害、排尿・排便の異常などがある場合には、整骨院で施術を続けるのではなく医療機関での評価を優先します。
すべり症そのものを治すことと、すべり症がある方の腰痛などに対して身体の状態を確認しながら施術することは分けて考えることが重要です。
よくある質問
すべり症とは何ですか?
腰椎すべり症は、腰の背骨である腰椎の位置関係にずれが生じた状態です。代表的なものに腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症があります。
腰椎すべり症でやってはいけないことはありますか?
全員に共通して禁止される動作があるわけではありませんが、腰痛や脚の痛み・しびれを明らかに悪化させる運動やストレッチを無理に繰り返すことは避けてください。
腰椎すべり症でやってはいけないストレッチはありますか?
痛みやしびれが強くなるストレッチは中止してください。特に分離症・分離すべり症では、腰を反らすことで痛みが強くなる場合があります。
腰椎すべり症にコルセットは効果がありますか?
腰痛や歩行時の症状を軽減する目的で使用されることがあります。ただし、コルセットによって腰椎のずれそのものが元へ戻るわけではなく、必要性や使用期間は症状に応じて判断します。
腰椎すべり症はストレッチで改善しますか?
ストレッチで腰椎のずれ自体を元へ戻すことはできませんが、身体を動かしやすくしたり症状の管理に役立ったりする場合があります。痛みやしびれが強くなる場合には中止してください。
腰椎すべり症ではどんな寝方がいいですか?
全員に共通する寝方はありません。仰向け、横向きなどの中から痛みが少なく眠りやすい姿勢を選びます。必要に応じて膝の下や膝の間にクッションを使用する方法もあります。
腰椎すべり症は自然に治りますか?
画像上の腰椎のずれが自然に元へ戻るとは考えにくいですが、ずれが残っていても腰痛や脚の症状が軽減することはあります。
腰椎すべり症は手術しないと治りませんか?
すべり症があるだけで手術が必要になるわけではありません。薬物療法やリハビリなどの保存治療が行われ、症状が改善せず日常生活に大きな支障がある場合などに手術が検討されます。
腰椎すべり症で歩けなくなることはありますか?
神経の圧迫を伴う場合には、歩くと脚の痛みやしびれが強くなり、休みながらでなければ歩けない間欠性跛行がみられることがあります。
まとめ
腰椎すべり症には、加齢などに伴って起こる腰椎変性すべり症や、腰椎分離症に関連して起こる腰椎分離すべり症などがあります。
腰痛だけでなく、お尻や脚の痛み・しびれ、間欠性跛行などがみられることがありますが、すべり症があっても症状が軽い人もいます。
「すべり症だから絶対に動いてはいけない」「横向きでしか寝てはいけない」「ストレッチをすれば骨のずれが戻る」といった一律の考え方はしないことが大切です。
症状を悪化させる動作を避けながら、状態に応じて運動やリハビリを行います。コルセットについても必要性は人によって異なります。
脚のしびれや筋力低下が進む、歩行が難しくなる、排尿・排便に異常が出るなどの場合には、早めに整形外科で状態を確認してください。

