
日中の眠気やだるさは、多くの人が日常的に抱える悩みです。仕事中や家事の最中、通勤中など、集中力が低下することでミスを招いたり、事故のリスクが高まったりします。また、疲労感が続くことで気分が落ち込み、生活の質や仕事のパフォーマンスにも影響が出ることがあります。本記事では、日中の眠気・だるさの原因を多角的に分析し、具体的な改善方法をご紹介します。
目次
日中の眠気・だるさの特徴
- 眠気:強い睡眠欲求が生じ、まぶたが重くなる、うとうとしてしまうなどの症状。
- だるさ(倦怠感):全身の力が抜けたような重さや、やる気が起きない感覚。
- 併発:眠気とだるさは別個の現象ですが、多くの場合、同時に現れやすい。
これらの症状は、単なる一時的な疲労感とは異なり、恒常的に続くと日常生活に支障をきたします。
主な原因
- 睡眠不足・睡眠時間の不足
- 平均的に成人は1日7~9時間の睡眠が推奨されるが、仕事や育児の影響で十分な睡眠が取れないケースが多い。
- 睡眠時間が6時間未満になると、日中の眠気や集中力低下が顕著になる。
- 睡眠の質の低下
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)、不眠症、むずむず脚症候群などの睡眠障害。
- ストレスや不安、スマートフォンのブルーライトなどが深い眠り(ノンレム睡眠)を妨げる。
- 睡眠リズムの乱れ(概日リズム障害)
- 夜更かしや休日の寝だめ、シフトワークによる就寝時間の不規則化。
- 「社会的時差ボケ(Social Jetlag)」と呼ばれる現象で、平日と休日の睡眠リズム差が大きいと日中の倦怠感が強まる。
- 栄養・食生活の偏り
- 高脂肪・高糖質の食事や過度のカフェイン摂取、空腹による血糖値の急降下。
- 朝食抜きや昼食後の大量の炭水化物摂取は、血糖の急上昇・急降下を招き、眠気を誘発する。
- 運動不足
- 日中に身体を動かさないと、血流が滞り、新陳代謝が低下。
- 定期的な有酸素運動やストレッチが不足すると、エネルギー消費が少なく、だるさを感じやすい。
- ストレス・心理的要因
- 職場の人間関係や業務量、家庭での悩みなど精神的ストレスが交感神経を過度に刺激。
- 睡眠中に心拍数や脳活動が高い状態が続くと、休息が十分に得られず、日中に疲労感が残る。
- 基礎疾患や薬剤性
- 貧血、甲状腺機能低下症、慢性疲労症候群、うつ病など。
- 抗ヒスタミン薬、降圧剤、抗うつ薬など、一部の薬剤には眠気を誘発する副作用がある。
影響とリスク
- 仕事・学業のパフォーマンス低下:集中力不足で作業効率が落ち、ミスや納期遅延を招く。
- 交通事故リスクの増大:運転中の居眠りや注意力散漫によって重大事故につながる恐れがある。
- メンタルヘルスへの悪影響:慢性的な疲労感がうつ症状を引き起こすこともある。
- 健康リスク:肥満、高血圧、糖尿病など生活習慣病の発症リスクが高まる。
改善方法
1. 規則正しい睡眠習慣の確立
- 毎日同じ時間に就寝・起床する。
- 就寝前1時間はスマートフォンやパソコンを控え、ライトの明るさを落とす。
- 寝る前の飲酒や激しい運動は避け、リラックスできるルーチンを作る(入浴、読書など)。
2. 快適な睡眠環境の整備
- 寝室は暗く、静かに保つ。遮光カーテンやアイマスク、耳栓を活用。
- 室温は夏場なら26℃前後、冬場は18℃前後を目安に。湿度45~60%を維持すると良い。
- 良質なマットレス・枕を選び、寝返りが打ちやすい寝具環境を整える。
3. 昼寝(パワーナップ)の活用
- 15~20分程度の短い昼寝は、午後の眠気を解消し、集中力や作業効率を向上させる。
- 14時前後の昼休みに軽く目を閉じるだけでも効果がある。深い眠りに入らないよう注意。
4. 適切な食事と水分補給
- 朝食は必ず摂り、たんぱく質・ビタミン・食物繊維をバランスよく。
- 昼食は炭水化物に偏りすぎず、野菜中心の定食やサラダランチを選ぶ。
- 砂糖入り飲料や高カフェイン飲料の摂取は控え、こまめに水分を補給する。
5. 運動習慣の導入
- 週に2~3回、30分程度のウォーキングやジョギングなど有酸素運動を行う。
- デスクワークの合間に立ち上がってストレッチや軽い体操を取り入れる。
- 朝の太陽光を浴びながら散歩すると、体内時計がリセットされ、日中の覚醒度が高まる。
6. ストレスマネジメント
- 呼吸法(腹式呼吸)、ヨガ、瞑想(マインドフルネス)などを習慣化し、心身の緊張を緩める。
- カウンセリングサービスやEAP(従業員支援プログラム)を活用し、悩みを専門家に相談する。
- 趣味や友人とのコミュニケーションの時間を確保し、リフレッシュを図る。
7. 光の活用とブルーライト対策
- 起床直後はカーテンを開け、自然光や明るい照明を浴びる。
- 夜間はスマホやタブレットのブルーライトフィルターをオンにし、光の刺激を抑制する。
8. 医療機関の受診
- いずれの対策を試しても改善が見られない場合は、睡眠専門外来や内科、精神科に相談。
- 必要に応じて血液検査や睡眠ポリグラフ検査を受け、基礎疾患や睡眠障害の有無を確認する。
まとめ
日中の眠気・だるさは、睡眠不足や生活習慣の乱れ、ストレス、基礎疾患など多様な要因が絡み合って起こります。まずはご自身の睡眠習慣や食生活、運動量、ストレス状況を見直し、できる範囲で改善を試みましょう。短時間の昼寝や朝の光浴び、規則正しい生活リズムの確立など、小さな工夫が大きな効果を生むこともあります。それでも症状が続く場合は、早めに専門家に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。健康的な生活リズムを取り戻し、日中の活力ある毎日を取り戻しましょう。