仙腸関節障害とは?お尻・腰の片側が痛い原因、症状・検査・治療を解説

「腰というよりお尻の上あたりが痛い」「長く座っていると片側のお尻が痛くなる」「立ち上がる時に腰の下が痛い」

このような腰・お尻周辺の痛みでは、仙腸関節が痛みに関係している場合があります。

仙腸関節は、背骨の下にある仙骨と骨盤を構成する腸骨の間にある関節です。

仙腸関節周辺から痛みが生じる状態は「仙腸関節障害」などと呼ばれます。

ただし、腰やお尻の痛みは腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、股関節の病気などでも起こります。

「お尻の上が痛い=仙腸関節」と自己判断せず、痛む場所や動作、脚の症状などを確認することが大切です。

仙腸関節とは?

仙腸関節は、背骨の下にある仙骨と左右の腸骨をつなぐ関節です。

身体の中心に近い場所にあり、上半身と下半身の間で力が伝わる部分の一つです。

仙腸関節周辺は関節部分だけでなく靱帯などの組織も含めて痛みの発生源になることがあります。

そのため、「関節が炎症している」と一つの状態だけで説明するより、仙腸関節周辺から生じる痛みを含めて考える必要があります。

この記事では、これらを含めて「仙腸関節障害」として解説します。

仙腸関節障害ではどこが痛くなる?

特徴の一つが、腰より少し下のお尻付近に痛みが出ることです。

日本脊椎脊髄病学会の資料では、仙腸関節障害ではPSIS(上後腸骨棘)周囲を中心とした比較的場所のはっきりした腰殿部痛が多く、鼠径部痛を伴うケースもあるとされています。

症状としては、

・腰の下からお尻にかけて痛い
・左右どちらかのお尻が痛い
・長く座っていると痛くなる
・立ち上がる時に痛い
・歩いて体重をかけると痛い
・鼠径部にも痛みを感じる

などがみられることがあります。

ただし、これらの症状だけで仙腸関節障害と診断することはできません。

腰の片側・お尻の上が痛いのは仙腸関節?

仙腸関節由来の痛みでは、片側の腰殿部に症状が現れることがあります。

「腰が痛い」と思っていても、実際に患者さんが指す場所がお尻の上にあるPSIS付近というケースがあります。

一方、腰の片側が痛む原因は仙腸関節だけではありません。

腰椎、筋肉、神経、股関節などさまざまな原因が考えられるため、痛む場所だけで判断することはできません。

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座っているとお尻が痛くなることもある

仙腸関節障害では、長時間の座位で痛みが強くなる場合があります。

日本脊椎脊髄病学会の資料でも、椅子に座っている時に痛みが増し、座っていることが困難になる例があるとされています。

ただし、座っている時のお尻や脚の痛みは、腰椎椎間板ヘルニアなどでもみられることがあります。

「座ると痛い」という症状だけでは原因を特定できないため、他の症状と合わせて判断する必要があります。

仙腸関節障害の原因は?

仙腸関節周辺に痛みが生じる背景は一つではありません。

現在の記事では「足を組む」「片足重心」「骨盤の左右差」などを主な原因としていましたが、これだけで仙腸関節障害になるとは断定できません。

日常生活や仕事、スポーツなどで腰・骨盤周辺へ負担が加わったことをきっかけに症状が現れる場合もあれば、はっきりしたきっかけが分からない場合もあります。

大切なのは「骨盤がゆがんだから仙腸関節が痛い」と決めつけるのではなく、症状や身体所見などを確認することです。

「仙腸関節炎」と「仙腸関節障害」は同じ?

完全に同じ意味として扱わない方がよいでしょう。

仙腸関節周辺から生じる機械的な腰殿部痛などを「仙腸関節障害」として扱う場合があります。

一方、「仙腸関節炎」は文字通り仙腸関節に炎症が起きている状態を指し、強直性脊椎炎(現在は体軸性脊椎関節炎として扱われることがあります)などの炎症性疾患でも仙腸関節に炎症が認められることがあります。

日本整形外科学会では、強直性脊椎炎について若年者の腰痛・仙腸関節痛・殿部痛などで発症し、安静より身体を動かした方が軽くなることが特徴の一つとしています。診断では血液検査やX線、MRIなどが用いられます。

そのため「仙腸関節が痛い=単なる骨盤の問題」とは限りません。

仙腸関節障害はどうやって診断する?

仙腸関節障害の診断は医療機関で行います。

まず、どこが痛むのか、どのような動作で痛むのかなどを確認します。

身体診察ではPSIS付近の圧痛や、仙腸関節周辺へ負荷を加えて痛みを確認する疼痛誘発テストなどが使用されることがあります。

ただし、一つの検査だけで確定するわけではありません。

日本脊椎脊髄病学会の基準では、複数の身体所見を総合して評価し、確定診断には診断的仙腸関節ブロックによる痛みの変化を確認する方法が示されています。

レントゲンやMRIで仙腸関節障害は分かる?

画像検査が行われる場合はありますが、仙腸関節由来の機械的な痛みを画像だけで判断できるとは限りません。

画像検査には、他の病気との鑑別や、仙腸関節周辺の炎症性疾患などを調べる役割もあります。

例えば強直性脊椎炎ではX線で仙腸関節炎などを確認し、X線で異常が明確になる前の段階ではMRIが早期診断に役立つ場合があります。

したがって「MRIで異常がないから仙腸関節は関係ない」「画像で仙腸関節に変化があるから必ずそこが痛みの原因」と単純に判断するものではありません。

仙腸関節障害と腰椎椎間板ヘルニアの違い

どちらも腰・お尻周辺に痛みが出ることがあるため、症状だけでは区別しにくい場合があります。

仙腸関節障害ではPSIS周辺など比較的限局した腰殿部痛がみられることがあります。

一方、腰椎椎間板ヘルニアなどでは、神経が影響を受けることでお尻から脚に痛みやしびれが現れることがあります。

ただし、「片側なら仙腸関節」「脚まで痛ければヘルニア」と単純に分けることはできません。

診察や必要な検査を組み合わせて判断します。

仙腸関節障害の治療

治療方法は症状や原因によって異なります。

保存的な治療として、状態に応じて薬物療法、運動療法などが検討されます。

仙腸関節由来の痛みが疑われる場合には、診断と治療を兼ねて仙腸関節周辺へのブロックが行われることもあります。

治療を行っても強い痛みが長期間続き、日常生活へ大きな支障がある場合には、専門医によってさらに治療方法が検討されます。

「仙腸関節障害なら必ずこの治療」というものではなく、診断と症状に応じて治療方法を選択します。

仙腸関節障害はどのくらいで治る?

回復までの期間には個人差があります。

現在の記事では「おおむね2週間」「最初は週2~3回通えば早期回復」としていましたが、仙腸関節障害の状態や原因は人によって異なるため、一律に期間や通院回数を決めることはできません。

数日から数週間で軽くなる腰殿部痛もあれば、長期間症状が続く場合もあります。

重要なのは「○週間で治る」という期間だけを目安にせず、症状の経過を確認することです。

仙腸関節障害は安静にした方がいい?

強い痛みが出た直後などには、痛みを悪化させる動作を一時的に減らすことがあります。

一方で、腰痛全般では必要以上に長期間動かないことが適切とは限りません。

日本整形外科学会も腰痛について、日常生活が制限され続けると体力や筋力が低下し、状態に応じた運動や体操を継続することが重要だとしています。

「絶対安静」「痛くても必ず動かす」と一律に決めず、症状に合わせて活動量を調整しましょう。

仙腸関節障害にストレッチや筋トレは必要?

状態によって運動療法が検討されます。

ただし、痛みが強い状態で無理にストレッチしたり、「骨盤を戻す」目的で強くひねったりする必要はありません。

運動して痛みが強くなる場合には中止し、症状が続く場合には医療機関へ相談してください。

腰痛ストレッチについて詳しく見る
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仙腸関節障害で病院へ行った方がいい症状

腰やお尻の痛みだけで緊急性の高い病気とは限りません。

しかし、

・安静にしていても強い痛みが続く
・痛みが徐々に悪化している
・発熱を伴う
・脚に力が入りにくい
・しびれや感覚異常が強くなっている
・排尿や排便に異常がある
・大きな転倒や事故の後から痛い

といった場合には医療機関を受診してください。

日本整形外科学会も、安静でも軽くならない腰痛、悪化する痛み、発熱、脚のしびれ・筋力低下、排尿異常などを伴う場合には速やかな整形外科受診を勧めています。

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鍼灸整骨院かまたきで仙腸関節障害は対応できる?

仙腸関節障害かどうかを整骨院で確定診断することはできません。

腰やお尻の痛みにはさまざまな原因があるため、強い症状や神経症状などがある場合には整形外科での確認を優先します。

すでに医療機関で診断を受け、緊急性の高い問題が否定されている場合や、日常生活による腰・お尻周辺への負担が考えられる場合には、身体の状態について相談することができます。

鍼灸整骨院かまたきでは、痛む場所だけでなく、腰や股関節の動き、痛みが出る動作、仕事や日常生活での身体の使い方などを確認し、状態に応じて施術や運動などを検討します。

「骨盤のズレを戻せば仙腸関節障害が治る」「潤滑油を流せば関節が修復する」といった考えだけで施術するのではなく、現在の症状を確認することを重視します。

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腰痛の原因は仙腸関節だけではありません。

腰椎、神経、股関節などが関係している場合もあるため、まず現在の症状を確認することが大切です。

特に強い痛み、脚の筋力低下、排尿・排便の異常、発熱などがある場合には医療機関での確認を優先してください。

緊急性の高い問題がなく、日常生活や仕事などによる身体への負担が考えられる腰痛では、身体の状態に合わせて整体・鍼灸などを検討できます。

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よくある質問

仙腸関節障害はどこが痛くなりますか?

腰の下からお尻の上、特にPSISと呼ばれる骨盤後方の出っ張り付近に痛みが出ることがあります。鼠径部などに痛みを感じる場合もあります。

仙腸関節障害は片側だけ痛くなることがありますか?

あります。片側の腰・お尻周辺に症状が現れることがあります。ただし、片側の腰痛には他の原因もあるため、痛む場所だけで仙腸関節障害とは判断できません。

仙腸関節障害はMRIで分かりますか?

画像検査だけで仙腸関節由来の痛みを確定できるとは限りません。診察や身体所見などを確認し、必要に応じて診断的ブロックなどを組み合わせて判断します。

仙腸関節炎と仙腸関節障害は同じですか?

完全に同じ意味ではありません。仙腸関節障害は仙腸関節周辺を発痛源とする腰殿部痛などを含めて使われることがあります。一方、仙腸関節炎は炎症性疾患などで仙腸関節に炎症が認められる状態を指す場合があります。

仙腸関節障害はどのくらいで治りますか?

症状や原因によって異なるため「2週間で治る」など一律には決められません。症状が長引く場合や悪化する場合には医療機関で原因を確認してください。

仙腸関節障害はストレッチをした方がいいですか?

状態によって運動やストレッチが検討されますが、痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。運動によって症状が悪化する場合には中止してください。

仙腸関節障害は整形外科で診断できますか?

はい。症状や身体所見などを確認し、必要に応じて画像検査や診断的ブロックなどを組み合わせて診断します。

仙腸関節障害を整骨院へ相談できますか?

相談はできます。ただし、整骨院では確定診断はできません。強い痛み、発熱、脚の筋力低下、排尿・排便異常などがある場合や診断が必要な場合には、整形外科での確認を優先してください。

まとめ

仙腸関節障害では、腰の下からお尻の上、PSIS周辺などに痛みが現れることがあります。鼠径部痛や座っている時の痛みを伴う場合もあります。

ただし、腰・お尻の痛みは仙腸関節だけでなく、腰椎椎間板ヘルニアなどさまざまな原因で起こります。

「骨盤がゆがんでいるから」「足を組んだから」と自己判断せず、痛みが続く場合には原因を確認することが重要です。

特に発熱、脚の筋力低下、強くなるしびれ、排尿・排便の異常などがある場合には、整形外科を受診してください。

医療機関で緊急性の高い問題が否定された腰痛については、日常生活での負担や身体の状態も含めて対応を考えていきましょう。

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