坐骨神経痛は腰から太ももの裏に電気が走るように痛みやしびれが特徴です。
いち早く坐骨神経痛の症状を改善したい方は、病院での治療だけでなく、自宅で出来る運動を取り入れたセルフケアがオススメです。
ここでは、坐骨神経痛のセルフケアと、これ以上悪化させないための習慣についてまとめました。
坐骨神経痛とは?
おしりから足にかけて通っている『坐骨神経』に沿ってあらわれる痛みやしびれなどの神経症状の総称です。
坐骨神経痛を引き起こす原因となる病気は別に存在するため、病名ではなく症状名です。しかし、原因となる病気が特に見当たらないこともあり、こうした場合は病名として診断されます。
人により、負担がかかる筋肉や圧迫される神経が異なり、それによってあらわれる症状や痛みの出現箇所が異なります。
- そこまで症状は酷くないがなんとかしたい
- 症状があらわれたり消えたりを何度も繰り返す
このようなお悩みをお持ちの方は、自宅でしっかり運動やストレッチを行うことで坐骨神経痛をケアすることができます。
坐骨神経痛セルフチェック
坐骨神経痛を引き起こす原因はいくつかありますが、多くの場合、以下の2つに分けられます。
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰部椎間板ヘルニア
この2つを見分けるポイントは、腰を「後ろに反らすと痛むか」「前に屈むと痛むか」で判断することができます。
反らすと痛む場合は→腰部脊柱管狭窄症
屈むと痛む場合は→腰部椎間板ヘルニア
自分の症状が、どちらの動作であらわれるかセルフチェックすることで無理な姿勢や、身体に合わない運動を避けることができます。
以下では、それぞれの病気の特徴をまとめたので参考にしてください。
【 腰部脊柱管狭窄症 】
後ろに反らすと症状があらわれる方の原因の多くは加齢によるものです。主に50歳以上の方に多くみられます。
加齢によって脊柱管が変形し、神経を圧迫してしまい症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症による背骨の変形は、骨格矯正などで矯正することはできないため病気の完治は望めません。筋トレやストレッチを行うことで筋肉の疲れを取り除き、症状の緩和を目指します。
【 腰部椎間板ヘルニア 】
デスクワークで長時間座っている人、重い荷物を持つ機会が多い人、激しいスポーツを行う人などで、腰に負担がかかりやすい場合に腰部椎間板ヘルニアを引き起こします。
背骨の間にあるクッションがつぶれ、外に飛び出したものがヘルニアです。ヘルニアは神経を圧迫し痛みやしびれなどの症状を引き起こします。
ヘルニアは自然治癒されることが多く、すぐに手術で取り除く必要はありません。
運動習慣を作り、筋肉に疲労をため込まないなど、基本的なケアを行うことで症状が改善されます。
坐骨神経痛のセルフケアの基本は姿勢にあり
セルフケアの土台は普段の姿勢にあります。いくら頑張ってストレッチや筋トレを行っても普段の姿勢が悪ければ何の意味もありません。
正しい姿勢は背骨のS字カーブを意識する
身体を横から見たときに、背中が自然なS字ラインを描いていることが理想的な姿勢です。
腰が反り過ぎていたり、背中が丸まっている姿勢では、きれいなS字ラインにはなりません。
正しい姿勢を長時間キープできない方には以下のような原因が考えられます。
- 筋肉が硬い
- 脳が正しい姿勢を認識できていない
- 筋力が弱い
以上3つの理由から正しい姿勢を保つことが難しくなり、坐骨神経痛の症状を引き起こすと考えられます。
この3つの課題に対する対策を解説していきます。
1.筋肉が硬い
- 疲労をため込まない
- 身体を温めて血液の流れを良くする
- ストレッチを行い、しなやかな筋肉を作る
まず第一に日々の疲れを残さないことが大切です。当たり前のことですが、栄養のある食事を摂りしっかり睡眠をとることを基本とし、可能であればお風呂の際は湯船に浸かり、入浴後は無理のない範囲でストレッチを行いましょう。
2.脳が正しい姿勢を認識できていない
- 自分の姿勢を知る
- プロに正しい姿勢を教わる
- 意識的に行動できるよう心掛ける
正しい姿勢だ維持できない最大の理由は『脳』にあります。
私たち人間は脳からの指令で姿勢を維持しています。
しかし、どこか一部に疲労や痛みが発生していると、脳はその症状をカバーするために身体を曲げたりずらしたりすることで不快症状を回避しようとします。これが続いてしまうと本来は傾いている不良姿勢が『いつもの姿勢』と錯覚してしまい元の正しい姿勢に戻らなくなってしまいます。
不良姿勢を直すには身体のプロに一度じっくり自分の身体をみてもらうことをお勧めします。
3.筋力が弱い
- 筋肉の柔軟性を高める
- 筋肉をバランスよく使う
- 筋トレを行う
筋力が弱い人は、単純に筋肉の力が弱いだけとは限りません。筋肉が硬かったり姿勢が悪いせいで本来の筋力を十分に発揮できていない可能性があります。
本来の筋肉の力を発揮するためには、筋肉の硬さを取り除き、筋肉をバランスよく使うことです。
筋トレはキツイものである必要はありません。ウォーキングや縄跳びなど全身運動がおすすめです。全身の筋肉を使い骨と筋肉に刺激を与える運動が良いです。
手軽にできる坐骨神経痛を解消させる運動
こちらで紹介する運動は、症状の有無に関わらずいつでも手軽に行えて、坐骨神経痛の症状を軽減させる運動になります。
基本的には、軽い負荷をかけることで神経を圧迫している筋肉の緊張をほぐす運動になっています。
筋肉をほぐし血液の流れが良くなれば、筋肉が硬くなることもなくなり、神経症状も出にくくなるでしょう。
お尻と太ももの筋肉をほぐす
- 片足をもう片方の膝の上に乗せ前にかがむ
- お尻から太ももの裏の筋肉を伸ばす
- 長時間座りっぱなしの時、思い出した時に行ってみてください
股関節を柔らかくする
- 写真のような体勢で行う
- 背中を真っすぐに伸ばすことを意識し股関節に体重をかける
- 長時間座りっぱなしの時、思い出した時に行ってみてください
背中の筋肉を鍛える
- タオルの端を首の後ろで持つ
- 背中の筋肉を動かすことを意識しながら腕を上下させる
- 反り腰にならないよう腹筋にしっかり力を入れる
- 朝晩、30回程度行ってみてください
太ももの前側を伸ばす
- 写真のようにつま先を後ろ手で掴む(硬い人は写真のようにタオルを使うと良いです)
- 反り腰にならないようお腹に力を入れたまま行う
- 反対側の足も同じように片足20~30秒ずつ行う
ふくらはぎ伸ばし
- 仰向けに寝転がる
- 太ももを上げた足の反対の手で押さえ身体に引き寄せる
- つま先を掴みゆっくり足首を手前に倒しふくらはぎを伸ばす(つま先が届かない場合はタオルを使っても良いです)
坐骨神経痛のポイントは股関節にあり
坐骨神経痛は、普段の癖や姿勢などで股関節に負荷がかかることが原因として多く考えられます。
股関節の問題として、『動きが悪い・硬い・弱い』などがあります。普段の姿勢を意識して、股関節に負担が掛らない姿勢に改善するのはもちろんのこと、これらの問題をトレーニングで鍛えることは坐骨神経痛の症状の改善につながります。
股関節に負荷がかかりやすい姿勢
- 長時間座りっぱなし
- デスクワーク
- 長時間運転
- 反り腰
- ガニ股歩き
- 足を組む姿勢
- 片足立ち
- 屈むことが多い作業 など
これらの姿勢において、すぐに思いつく癖があった方は今後意識して改善していきましょう。
股関節に限ったことではないのですが、長時間同じ姿勢でいることは、自分の体重で一部分を圧迫し続けることになります。その結果、圧迫を受け続けた部分に負担がかかり痛みやしびれなどの症状があらわれます。
股関節の動きと坐骨神経痛の関係
股関節に負担がかかると、お尻のお奥の方にある梨状筋(りじょうきん)と言う筋肉に負担がかかります。
梨状筋は坐骨神経に覆いかぶさるようにあり、股関節の外旋運動に関わる筋肉です。
この梨状筋が硬くなったり疲労して筋肥大すると、坐骨神経を圧迫し神経症状を引き起こします。
お尻には他に、大殿筋、中殿筋、小殿筋などの筋肉がありますが、梨状筋はさらにその奥の方にあって、軽いストレッチや運動ではほぐれにくい筋肉です。しかし梨状筋は坐骨神経と隣合わせにあるため、きちんとケアしなければ坐骨神経を圧迫し、神経症状の原因となります。
股関節の動きとお尻の筋肉は連動して働いているため、股関節の動きが良くなることでお尻の筋肉が柔らかくなり、反対に、お尻の筋肉が柔らかくなることで股関節の動きが良くなります。お尻が柔らかくなることで奥にある梨状筋がほぐれれば、坐骨神経を圧迫することもなくなります。
坐骨神経痛の悪化を防ぐ習慣
骨盤を立てて座る
長時間座り続けることは避けたいですが、一番腰に負担がかからない座り方は背筋を真っすぐに骨盤を立てて座ることです。
背もたれがある椅子の場合でも、なるべく浅く腰掛け、背もたれにもたれかからないことです。
デスクワークの時も、前に屈み気味になったり、机にもたれる姿勢は腰に負担がかかります。
この姿勢をキープできない方は腹筋と背筋のバランスが崩れている、または、全体的に筋力が弱いので、日常的にできる運動を少し取り入れることをお勧めします。
長時間同じ姿勢を続けない
寝ている姿勢でも座っている姿勢でも、どんな姿勢も同じ姿勢を長時間続けることは筋トレを長時間行っているのと同じ状態であり、筋肉は疲労します。
筋肉は動かして収縮することでポンプの役割を果たし、全身に新しい酸素と血液を運んでいます。この働きによって疲労物質が溜まらずに済んでいるのですが、長時間同じ姿勢でいてはそうはいきません。
ある一定の部分にだけ負担がかかり続け、疲労により筋肉が硬くなり、血液やリンパの流れを妨げ、痛みの元となります。
このように、筋肉の緊張を防ぐためには長時間同じ姿勢を続けないことが大切です。
身体を温める
筋肉は冷えると縮んで硬くなる性質があります。
筋肉が硬くなると、血液の流れが悪くなり疲労物質が留まり、痛みなどの症状を引き起こします。
柔らかく動きのある筋肉であれば、疲労物質が発生しても血液に乗って流されてしまうため筋肉が炎症せずに済みます。
縮んでいる筋肉は温めてよく動かすことで、柔らかく疲労の溜まりにくい丈夫な筋肉になります。
1日の終わりは、筋肉の疲労を取るためにもシャワーで済まさずに、ゆっくり湯舟に浸かって、ストレッチは入浴後の習慣にできたら良いでしょう。
骨盤の歪みをリセットする
1日中動いた身体は疲労が溜まり、多少なりとも毎日歪んでしまいます。
寝るだけですべてリセットされるのが理想ですが、なかなかそうはいきませんよね。
寝る前に布団に横になってからできる簡単な体操をご紹介します。
- 仰向けに寝転がる
- 骨盤の下にタオルを折って挟み込む
- 膝を曲げ、足を90°に持ち上げ左右に順番に倒す
- 左右30回程度を目安に行う
左右に動かしたとき、動きに左右差を感じた場合、動きの悪い方の筋肉が硬くなって、骨盤が歪んでいる可能性があります。動かしづらい、または、硬いと感じる方を重点的に行ってみてください。
まとめ
骨や脳、臓器には特に問題がない症状はたくさんあります。
坐骨神経痛もまたその一つです。
病気的な異常のない痛みやしびれなどを抱えている方は、「治らない」と悲観されがちですが、日常的なちょっとしたことを心がけるだけで症状はだいぶ良くなります。
今回はセルフケアについてご紹介させていただきましたが、なかなか良くならない方はやはり一度専門機関に相談することをお勧めします。
鍼灸整骨院かまたきにも、たくさんの坐骨神経症状でお困りの方が来院され、施術後は笑顔でお帰りになられます。
悩んでいる方はまずはご相談ください。