
側弯症(そくわんしょう)は、背骨がねじれを伴ってS字やC字のように曲がってしまう病気です。
発症の原因ははっきりと分かっていませんが、子どもから大人まで誰もがかかる可能性がある病気です。
側弯症は無症状や無自覚のうちに進行してしまい、進行すると心臓や肺を圧迫して呼吸機能に悪影響を与えることがあります。
早期に発見し、適切な治療を受けることで進行を抑制したり手術を回避する可能性が上がります。
ここでは側弯症についての知識と、整骨院における側弯症の施術について解説していきます。
側弯症の原因
側弯症は、はっきりと原因がわかっていないことが多い背骨の病気です。
もととなる病気が関係している場合や、生まれつき背骨に異常がある場合もありますが、一番多いのが特発性側弯症と呼ばれる、原因がはっきりと分かっていないタイプの側弯症です。
母親に側弯症があると子の発生率が高いことから遺伝子変異の影響も考えられますが、8割以上の人が原因がよく分かっていません。
好発年齢
側弯症を患っている約80~90%の人が、思春期特発性側弯症と言われる成長期に発症するタイプの側弯症です。
これは、小学校高学年から中学生にかけての思春期に発症することから呼ばれています。
通常は成長(身長の伸び)とともに背骨もねじれを伴い進行し、成長が終わると進行も止まります。
男女比では、女子が男子に比べ発症率が5~7倍と高いのが特徴です。
症状
側弯症は、軽度のものであれば日常生活にほとんど影響は与えません。痛みなどの身体的症状も伴わないため、検査するまで分からないことがほとんどです。
それどころか、手術が必要な角度になっていても痛みなどの自覚症状が無いことが多いです。
しかし、外見上はっきりした特徴があらわれます。
- 左右の肩の高さが異なる
- 左右どちらかの肩甲骨が飛び出している
- 胸郭のどちらかが飛び出している
- 背中や腰が出っ張っている
- 腰やくびれの位置が左右で異なる など
ある程度の角度以上に変形した側弯症は内臓を圧迫するようになります。肺を圧迫することで呼吸障害が起こり、心不全を起こす可能性もあります。
進行した側弯症の自覚症状は以下の通りです。
- 慢性的な背中のコリや痛み
- 同じ姿勢を保つことが難しい
- 下肢の痛みや筋力低下
- 息切れなど呼吸障害
- 手足のしびれなどの神経症状 など
日常生活で注意すること
側弯症は左右の骨格のバランスが異なるため、身体に負担がかかりやすいです。
自覚症状がなくても側弯症と診断されたら以下のようなことに気をつけて生活することで症状の悪化を防いだり、進行を抑制することに繋がります。
- ショルダーバックなど片側に負担がかかる荷物は長時間持たない
- 頬杖をつく姿勢はしない
- 横向きで寝ない
- 跳んだり跳ねたりが多いスポーツや背中に大きな衝撃が加わる運動は避ける
- 歪みを無視して筋トレやストレッチをしない
- 無理なダイエットはしない
①ショルダーバックなど片側に負担がかかる荷物は長時間持たない
側弯症の人は左右の身体のバランスが異なるため、片側だけに負担がかかるショルダーバックやハンドバッグを長時間同じ方向で持つようなことは避けましょう。
②頬杖をつく姿勢はしない
頬杖の姿勢は左右のバランスが崩れた姿勢です。机やテーブルに座る時、頬杖をつく姿勢が癖になってしまうと側弯症の症状が悪化してしまうため避けましょう。
③横向きで寝ない
側弯症の人は基本的には上を向いて真っすぐに寝るのが良いです。
横向き寝は身体が捻じれた姿勢であるため側弯症の症状を進行させてしまう場合があります。
しかし、側弯のカーブの方向によって横向き寝をすることで症状の改善が期待できる向きがあります。横向きで寝る場合は自分のカーブを把握するため専門家に相談することをお勧めします。
④跳んだり跳ねたりが多いスポーツや背中に大きな衝撃が加わる運動は避ける
側弯症の人は筋力の左右バランスが異なるため、腰痛などの症状を起こしやすいです。そのため、重い物を持ったり飛び跳ねることが多いスポーツ、一方向に力がかかるスポーツは避けた方が良いです。
(テニス・卓球・野球・バレーボール・バトミントンなど)
反対に、左右の筋肉を均等に使うような運動や、身体にかかる負荷が小さい運動はおすすめです。
身体の歪みを整えるヨガやバレエ、太極拳、左右の筋肉をバランスよく使った水泳や軽いジョギングなどは無理のない程度に行うことで側弯症の進行を予防することに繋がります。
⑤歪みを無視して筋トレやストレッチをしない
側弯症のカーブの向き把握せず筋トレやストレッチを行うことは症状の悪化に繋がります。弱った筋肉を鍛えたり、硬くなっている筋肉をほぐすことは大切なことですが、側弯の状態に合わせて行わなければ意味がありません。
⑥無理なダイエットはしない
ダイエットによって筋肉も小さくなってしまうと身体にかかる負担は大きくなります。
側弯症は、やせ形の女子に多いというデータもあることから無理な減量やダイエットは控えた方が良いです。
側弯症の症状は整骨院でで診れますか?
進行した側弯症は基本的に、治癒することはありません。
しかし、だからと言って側弯症を放置していると筋肉のバランスの悪さから、肩こり・腰痛・ひざ痛などを感じやすくなり、下肢は椎間板ヘルニアのような症状が出てきてしまう場合もあります。
側弯症は健康保険が適応されません×
整骨院で健康保険を使用する場合、以下のような条件があります。
- おおむね一か月以内のケガである
- 仕事以外の時間に自分で痛めたものである
- 『いつ・どこで・どのように』痛めたのか、原因がはっきり分かっている
以上をふまえて側弯症はその原因が不明瞭であることから整骨院では健康保険適応外になるため、施術は実費扱いになります。
整骨院ではどんな施術をするの?
側弯症の特徴として、からだがダルい・重い、疲れやすい、あちこちに痛みを感じやすいと言うものがありますが、これは側弯症の特徴である筋肉の左右バランス違いによるものなので、整骨院で行うような筋肉の硬さを取り除いて関節の動きを良くする施術はとてもおすすめです。
整骨院の施術の基本は手技・電気・運動療法です。
【手技】
手技では筋肉の硬さを取り除き、血液の流れを良くして関節がスムーズに動けるよう調整します。
筋肉を柔らかくすることで痛みが緩し、症状の進行を抑制する効果があります。
【電気】
手技では届かない奥の筋肉に対してマイクロカレントや低周波などの電気を用いることでアプローチします。
身体に流れている電流と同じ電気を流すことで細胞が活性化し、筋肉の働きを良くします。
【運動療法】
側弯症の状態を把握し、無理のない程度で動かしていきます。適度なストレッチと筋トレをすることで自力で身体を支える土台を作ります。
側弯症の施術は治癒を求めるのではなく、その身体と付き合っていくための土台を作ることです。
筋肉の左右差があるため疲れや痛みがあらわれやすいので、疲労を溜めないよう常に筋肉の状態を良くしておくことが大切です。
症状が酷くなってくると施術で痛みを伴うことも多くなってしまうので、日頃から意識して身体のメンテナンスを行うよう心掛けましょう。